民間ロケット「カイロス」打ち上げ失敗 衛星投入できず
2024年12月18日 16時15分
東京の宇宙事業会社、スペースワンがきょう(18日)午前、串本町にある民間のロケット発射場で行った小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げは、飛行中断措置が取られ、失敗しました。
午前11時、和歌山県串本町の発射施設「スペースポート紀伊」から打ち上げられた、「カイロス」2号機は、上空高く弧を描くように上昇し、成功したかと思われました。
ところが、ロケットの1段目が燃焼を終え、人工衛星を覆うフェアリングの分離が終わった後、異常が発生し「ミッション達成困難」と判断されたため、飛行が中断され、打ち上げは失敗しました。
田嶋勝正(たしま・かつまさ)串本町長は見学場で記者団に「改めてロケット技術の難しさを感じた。次は成功で万歳をしたい」と話しました。
一方、県庁でライブ中継を見ていた岸本知事は、「少し残念ですが、かなり前進した感じで、きょうは和歌山にとって記念すべき日になったと考えております。人生は上手くいかないけれどめげず大人たちが挑戦する姿を見ている子供たちの教育効果は大きいなと思っています。決して負け惜しみではありません」と話しました。
また、発射を延期した14日、15日の両日に続き家族4人で来た奈良県平群町の吐田真一(はんだ・しんいち)さんは「最後まで達成できなかったが、打ち上げを見られて感動した」と笑顔で話し、大阪市の横山凜子(よこやま・りんこ)さんは「次こそは宇宙まで行ってほしい」と期待を込めて話しました。
小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げ失敗について、東京の宇宙事業会社スペースワンの豊田正和(とよだ・まさかず)社長はきょう午後、記者会見で「カイロス2号機はステップ4の段階で打ち上げからおよそ3分後に飛行中断の措置がとられました。原因については対策本部を立ち上げまして、現在調査中です」と話しました。
また、「ミッションの衛星の投入ができなかった。お客さまにおわびする」と陳謝しました。
ロケットには衛星が搭載されていて、軌道への投入に成功すれば民間単独では国内で初めてのことでした。
スペースワンがことし3月に挑戦した打ち上げは、安全な飛行のために設定した範囲を外れ、ロケット自身の命令による自律破壊によって爆発し、失敗は2回連続です。
成功すれば、衛星打ち上げでアメリカなどを追う日本にとって大きな一歩でした。
今回の打ち上げは今月14日と15日に予定されていましたが、強風の影響でいずれも直前に延期されました。