東京の宇宙事業会社スペースワンは、串本町にある民間のロケット発射場で、きょう（１５日）午前１１時に予定していた小型ロケット「カイロス」２号機の打ち上げを、上空の強風のため中止したと発表しました。打ち上げは、今月（１２月）１８日午前１１時で調整されています。

これは、今年（２０２４年）３月の失敗を経てのスペースワンの再挑戦で、当初、きのう（１４日）の打ち上げ予定でしたが、２日連続で、強風のため、直前に中止となりました。

きょう正午から、串本町内のホテルで開かれた記者会見で、スペースワン・執行役員の阿部耕三(あべ・こうぞう)氏は、まず、この日の打ち上げ中止について、「午前１０時２０分からの最終判断の天候分析で、横風の影響があり、延期とした」と述べました。そして、２日連続で延期となったことについては、「楽しみに来てくれた人には、大変申し訳なく遺憾」とした上で、「発射に向けて全力で取り組んでいるが、上空の天候は直前でないとわからない」と話し、理解を求めました。

阿部執行役員は、また、「地表の天候については何ら問題はなかった」とし、１１時ちょうどに限らず、１１時２０分ぐらいまでの余裕を持って検討したが、上層の風の変化は見込めないことから、延期を決定したということです。そして、次回の打ち上げ日程について、１８日午前１１時とする方向で関係各所と調整中だとし、あす（１６日）にも正式発表するとしました。

一方、やや風は強いものの、快晴に恵まれた串本町の打ち上げ応援会場、田原(たわら)海水浴場には、この日も、２０００人近い見物客が訪れ、打ち上げの瞬間を楽しみに待っていました。しかし、予定時刻を前に、中止が発表されると、落胆のため息がもれましたが、まもなく拍手が起こり、観客のロケット打ち上げに対する熱い思いが広がりました。

２日連続で会場を訪れた大阪の１０歳と７歳の姉弟(きょうだい)は、「カイロスがかっこいい姿で飛んでくれると思ったが、飛ばなくてすごく残念です。また、絶対来たいです」と話していました。そして、会場には、前日に続き、物販販売などのブースも展開され、賑わっていました。

地元、串本町の田嶋勝正(たしま・かつまさ)町長も、会場で、「きょうこそはと思っていた。一言で言えば残念だ」と話したあと、「成功して良い年を迎えたい」と次の打ち上げに期待を込めました。

また、和歌山県の岸本周平(きしもと・しゅうへい)知事は、「２日連続の中止で、ちょっと残念な気持ちはあるが、再チャレンジを待つしかない」と記者団に語りました。

ロケット「カイロス」２号機には、５機の衛星が搭載されていて、軌道への投入に成功すれば、民間単独の打ち上げとしては、国内で初めてとなります。