後悔抱える警察関係者、岸田首相襲撃から1年
2024年04月14日 19時04分
岸田文雄(きしだ・ふみお)首相が、選挙の応援演説に訪れた和歌山市の会場に、爆発物が投げ込まれた事件は、あす(15日)で発生から1年を迎えます。この事件では、木村隆二(きむら・りゅうじ)被告25歳が、首相らへの殺人未遂などの罪で起訴されましたが、黙秘を続け、動機は不明のままで、襲撃を許した警察関係者は、今も後悔や不安を抱えています。
事件は、去年(2023年)4月15日昼前、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、首相の演説直前に、パイプ爆弾が投げ込まれ、爆発したもので、首相は無事でしたが、警察官と聴衆のあわせて2人が軽いケガをしました。和歌山県警は、威力業務妨害の疑いで、木村被告を現場で現行犯逮捕しましたが、一貫して黙秘を続けています。和歌山地検は、およそ3か月間の鑑定留置を実施し、刑事責任を問えると判断、9月に殺人未遂罪などで起訴しました。
当時、警護本部のトップを務めていた和歌山県警の山崎洋平(やまざき・ようへい)前本部長は、今月(4月)3日の離任記者会見で、「万全を期したつもりだった」と悔しさをにじませました。
事件の前、県警は、現場での金属探知検査などを自民党県連側に要請しましたが、関係者以外は来ないと説明され、見送られた経緯がありました。そして、事件の後、要人の警護に求められる要求は高まり、担当する警察関係者は、毎回大きなプレッシャーを感じているということです。
一方、雑賀崎漁港では、爆発地点から数10メートル先のコンテナに、爆発物の一部が突き刺さった跡が残っています。雑賀崎漁協の浜田光男(はまだ・みつお)組合長77歳は、「人に当たっていたら、大変なことになっていたと改めて思う」と話し、爆弾を投げた直後の木村被告を羽交い締めで取り押さえた地元漁師は、演説に集まる聴衆に対して敏感になり、被告のようにリュックサックを背負った人を見つけると、目で追ってしまい、「同じようなことが起きるかもと考える時がある」と話しています。
今後は、初公判までに、争点や証拠を整理する公判前整理手続きや、裁判員の選任手続きが行われる見込みです。