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日赤和歌山・中医師らが石川県輪島市での救護活動を報告「段ボールベッドも無い」

2024年01月12日 19時21分

災害・防災福祉・医療

能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市に災害医療コーディネーターとして派遣された、日赤和歌山医療センターの中大輔()(なか・だいすけ)医師らが、きょう(12日)報道関係者に現地での活動を報告し「これまで様々な災害医療を経験してきたが、輪島市の救護所の状況は衝撃的だった。段ボールベッドさえも装備されていない」と語り、指定避難所での不備に警鐘を鳴らしました。

きょうの活動報告会のもよう(1月12日・日赤和歌山医療センター)

中医師は、元日に発生した能登半島地震の直後、同じく日赤和歌山医療センターの芝田里花()(しばた・りか)看護師と、事務調整員2人の4人1チームで、今月(1月)4日から8日まで石川県輪島市に派遣され、現地での救護活動や、全国から派遣された医療チームの指揮を行いました。

避難所サポートセンターとなった市立輪島病院のもよう(提供:日赤和歌山医療センター)

中医師は、断水でトイレや避難所の衛生状態が極めて悪化していることや、多くの高齢者が避難所で寝たきりになっていること、さらに、正月休み中のため、指定避難所には市役所など行政の職員がほとんどおらず、適切な運営が出来ていない状態だったことなどを報告しました。

輪島市内の様子(提供:日赤和歌山医療センター)

とくに印象的な出来事として、中医師は「高齢者ばかりが5~6人寝ているある集会所で、突然便意をもよおしたひとりの高齢者がトイレに行こうと、ズボンとパンツを下ろして、尻を出したままおぼつかない足取りでトイレに向かっていた。そこには外部の運営者らしき人はおらず、誰がこの人達を介助すればいいのか、被災地の現実を突きつけられた気がした」と語りました。

中大輔医師

中医師は「この惨状は、和歌山でも必ず起こると確信した」と述べた上で、今後の災害医療の体制について「現場の状況を直接見てきた我々救護班が、行政にしっかり伝えることが重要だと確信した。医療行政はここ数年新型コロナに振り回されたが、今度はもう一度災害医療に目を向けて、我々医療従事者と、県や市町村、保健所などが具体的に案を出し合っていかなければならない」と提言し、指定避難所への段ボールベッド・マンホールトイレなどの確保や、その近隣での備蓄施設の整備などを訴えたほか、個人でも糖尿病や高血圧などの持病がある人は、常用薬を1週間から10日分確保しておくよう、呼びかけました。

芝田里花看護師

芝田看護師も「40%台の高齢化率は輪島市も和歌山県も同じだ。段ボールベッドさえあれば、寝たきり状態が原因の高齢者の認知症の悪化を防げる可能性がある。こころのケアも重要だ」と話しています。

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