印南日高川風力発電事業「事業者側の不当な合意書集めやめて」住民グループが和歌山県に申し入れ
2023年09月13日 18時03分
東京の東急不動産株式会社が、印南町(いなみちょう)と日高川町にまたがる山林に計画している「印南日高川風力発電計画」について、東急不動産側が、地元住民から不誠実な説明で和歌山県から林地開発許可を得るための土地提供の合意書を集めているとして、地元の住民グループが、きょう(13日)和歌山県に対して、東急不動産側に不当な合意書集めをやめるよう指導し、県も合意書を申請書類として認めないよう、申し入れを行いました。
県に申し入れを行ったのは「印南日高川風力発電建設を考える会」です。
印南日高川風力発電計画は、印南町と日高川町の境にある山の尾根に、最大6100キロワットの風車22基を設置するもので、東急不動産は、去年(2022年)10月、県に事業認可を求め、審査を受けていますが、岸本周平知事は、先月(8月)23日、経済産業大臣に宛てた意見書で「大規模風力発電事業には著しく適さない場所」と、難色を示しています。
このような中、考える会によりますと、東急不動産側は、地権者や生産組合に対して「調査のためで、今後風力事業にあたり土地の契約を強制するものではない」と書かれた合意書を手紙で送付して署名を求め、実際には「事業に必要な施設を設置し稼働させること」「合意書に違反し、相手側に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければならない」という内容が含まれているということです。
世話人を務める高田有(たかだ・ゆう)さんは「建設予定地は急峻な傾斜地で、泥岩と砂岩のもろい土壌、かつ、林道も無い場所。土砂災害や環境への悪影響の懸念はもとより、地元に対して十分な情報の無いまま、悪質で詐欺まがいの合意書集めを行う東急不動産の体質を許せない」と訴えました。
考える会によりますと、地権者には高齢者が多く、すでに合意書に署名した人もいるほか、地元住民が賛成側と反対側に分かれて亀裂が生じているということです。
一方、考える会では、東急不動産側へこのような合意書集めをやめるよう、先週末までに文書での回答を求めましたが、きょうの時点で回答は得られていないということです。
申し入れを受けた県では「県庁内の関係する機関と情報を共有しながら、内容を検討したい」と話しています。