和歌山市でクビアカツヤカミキリの防除対策を考えるシンポジウム
2023年08月29日 18時49分
和歌山県内や全国各地で果樹を食い荒らして枯らす被害をもたらす、特定外来生物の昆虫・クビアカツヤカミキリの防除対策について考えるシンポジウムが、きょう(29日)和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で開かれました。
これは、国や地方自治体、大学、JAなどで構成する農林害虫防除研究会が主催する、第27回農林害虫防除研究会和歌山大会の一環として開かれたものです。
クビアカツヤカミキリは、和歌山県内では2017年にかつらぎ町で初めて成虫が見つかり、以降、紀北地方のモモやスモモ、サクラなどの樹木を食い荒らす被害をもたらしているほか、ことし(2023年)5月には御坊市、7月には日高川町でも確認され、中紀・紀南が特産のウメの被害にも警戒が必要となっています。
繁殖力が非常に強く、またたく間に食害が広がるため、県では、国や市町村、JAなどと連携して調査や駆除を進めるとともに、県民にも通報を呼びかけています。
きょうは、はじめに、農林水産省・植物防疫課の中園浩一(なかぞの・こういち)さんが、ドイツやイタリアでのクビアカツヤカミキリの早期駆除の事例を紹介したうえで、環境省をはじめ、農林水産省や国土交通省、林野庁などとの連携強化と、自治体向けの特別防除に対する国の交付金の活用を呼びかけました。
続いて、クビアカツヤカミキリの生態を研究している、県・かき・もも研究所の弘岡拓人(たくと)さんが、県内や全国で相次ぐ樹木の食害を紹介しながら「被害の出始めは目立たないため、油断してしまいがちだが、5年程度経つと被害が爆発的に増加する傾向にある」と指摘し、樹木の株元だけ見るのでは無く、直径5センチ程度の枝まで注意して見回ることや、樹木の近くに落ちているフンや木くずなどが固まった「フラス」にも注意するよう呼びかけました。
その上で弘岡さんは、薬剤散布のほかに、防除ネットを樹木に巻き付けるなど、資材も活用した防除や駆除の研究を続けていることも紹介しました。
このあと、パネルディスカッションも行われ、専門家がクビアカツヤカミキリの防除について、活発な意見交換を行いました。