和大・松下会館、モダンムーブメント建築選定 プレート贈呈式&記念講演会
2023年07月17日 19時08分
和歌山市西高松にある和歌山大学松下会館が、和歌山県内で初めて、近代建築物の保存を働きかける国際組織「DOCOMOMO(ドコモモ)Japan(ジャパン)」の「日本におけるモダン・ムーブメント建築」に選ばれ、きょう(7月17日)、選定されたことを示すプレートの贈呈式と、記念の講演会が開かれました。
これは、近代建築物の保存に対する機運を盛り上げようと、和歌山県建築士会和歌山市支部が、和歌山ヘリテージネットワーク協議会とともに主催したものです。
和歌山大学松下会館は、1961年・昭和35年、当時の和歌山大学経済学部の構内に、学生のための施設として建設されたもので、パナソニック創業者で和歌山市出身の松下幸之助(まつした・こうのすけ)氏の寄付で建てられました。
日本の近代建築家、渡辺節(わたなべ・せつ)氏が設計を手掛け、鉄筋コンクリートや鉄骨、タイルを用いた2階建てのモダンな外観と、無駄を省いた機能性を兼ね備えた近代建築で、現在も、リフォームを施し、会議室やコワーキングスペースなどを備えた新しい学びの拠点として活用されています。
選定プレートの贈呈式は、きょう午後1時過ぎから和歌山大学松下会館前で行われ、「DOCOMOMO(ドコモモ)Japan(ジャパン)」の元理事で今回の選定に関わった、京都工芸繊維大学の笠原一人(かさはら・かずと)助教が、和歌山大学の本山貢(もとやま・みつぎ)学長にプレートを手渡しました。
和歌山県内の施設が選定されたのは、これが初めてで、この後、隣りの県立図書館で行われた講演会では、京都工芸繊維大学の笠原助教が、和歌山大学松下会館について、「鉄筋コンクリートの柱や梁を強調したモダニズム建築だが、左右対称となる構成を数多く使い、タイルや穴あきブロックなど細部に凝ったデザインを施している」として文化遺産としての価値の高さを強調しました。
この後、和歌山大学の高砂正弘(たかさご・まさひろ)名誉教授が「松下会館の魅力」と題して講演したほか、講演会の前に挨拶した和歌山大学の本山学長は、「和歌山県内にある高等教育機関が連携する拠点となれるよう、今後、市民の力を借りて活性化させていきたい」と語りました。
講演会には、会場いっぱいとなるおよそ60人が訪れ、建物の見学会にも参加していました。