和大で「カラフルウィーク」 天体観望で多様性学ぶ
2023年05月26日 20時36分
学生の困りごとを支援するための和歌山大学の「カラフルウィーク」の取り組みの一環として、おととい(5/24)夜、地球外の知的生命について考える講演会や星空を見上げる天体観望会が、和歌山市栄谷の和歌山大学のキャンパスで開かれました。
基本的人権や多様性を尊重する「カラフルウィーク」の取り組みは、和歌山大学の教員の有志でつくる研究ユニットが、2016年から行ってきましたが、今年(2023年)から、和歌山大学が、DEI(ディーイーアイ)ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン推進本部を設置して全学的な取り組みとして、今月(5月)18日から31日までの日程で展開しています。
おとといは、午後7時から和歌山大学観光学部の大教室で地球外知的生命に関する研究の第一人者で兵庫県立大学専任講師の鳴沢真也(なるさわ・しんや)さんが講演し、学生や教職員、市民らおよそ70人が聴講しました。
この中で、鳴沢さんは、「私たちの見える範囲にある星の数は、世界中の海岸にある砂の数より多く、天文学者の間では、地球外知的生命がいるのは当り前と言われているが、知的生命の進化は、偶然に偶然を重ねた結果で、太陽系を含む天の川銀河に、地球人以外の知的生命がいるかどうかはわからない」と指摘した上で、「宇宙は広く、地球にやってくることはなく、地球外生命が出している電波を探して、その存在を示すしかなく、この60年で100を超えるプロジェクトが実施されている。私たちホモサピエンスのルーツは、みなアフリカ人で、民族や肌の色や性別で差別するのは、科学的にまったくナンセンスな話。一人一人は貴重な存在だ」と強調しました。
この後、和歌山大学のキャンパスで天体望遠鏡を使った観望会が開かれ、参加者が望遠鏡をのぞき込んで月や、月のそばで光る金星をじっくり観察しました。
参加した経済学部2年の設楽(しだら)はるかさんは、「もともと夜に星を見るのが好きで、今回の取り組みを学内メールで知って参加しました。カラフルウィークは、多様性を意識する週間として、以前から知っていましたが、宇宙人はいる、という今回の講演を聞いて、人の多様性を広い視点でみることができるようになりました」と話していました。
和歌山大学理事で、DEI推進本部の本部長を務める尾久土正己(おきゅうど・まさみ)副学長は、「今回は、人々の多様性を考えるきっかけとして、講演を通じて、同じ宇宙から生まれた私たちが多様性をもっていることや、星空を見ながら、宇宙の多様性に比べて地球はどうか、といったことを考えてもらおうと開催しました。今後も、多様性を、興味のあるものと 組み合わせて実施していきたい」と話しました。
去年まで研究ユニットの代表として「カラフルウィーク」を主催してきた和歌山大学経済学部の岡田真理子(おかだ・まりこ)准教授は、「今年は、全学的な取り組みになり、これまでとは大きく違って、幅広い人に参加してもらえました。来年以降も楽しみです」と話していました。
和歌山大学の「カラフルウィーク」は、今月31日まで行われ、期間中、キャンパス内の大学会館で、学生生活に困難を抱える学生に対する支援を表明する教職員のパネル展示が行われています。