免許不要の近距離モビリティ 和歌山市で試乗会
2023年05月17日 22時19分
免許がなくても近距離を移動できる電動の乗り物「WHILL(ウィル)」の試乗会がきょう(5/17)、和歌山市で開かれ、参加者が乗り心地などを確かめました。
「WHILL」は、東京に本社のあるWHILL株式会社が開発した、免許がなくても歩道を走行できる近距離モビリティで、スクーター型のものや、折りたためるものなど3種類があり、いずれも最高時速は6キロ、一度の充電で18キロから33キロ走行できます。
今回の試乗会は、高齢化率の高い和歌山県内に9つの店舗を構える自動車販売会社のネッツトヨタ和歌山が、免許返納後の移動手段について多くの相談を受ける中で、店舗での取り扱いを決め、開いたものです。
きょう午前、和歌山市湊のネッツトヨタ和歌山大浦店で開かれた試乗会では、はじめにWHILL株式会社のスタッフが、開発の背景として、歩きづらさを感じている高齢者が国内に1200万人いる中で、65歳以上で免許を返納した人が累計350万人いる現状を踏まえ、「免許返納後も安心して徒歩をカバーできる移動手段のニーズがあると判断した」と説明しました。
すでに販売しているトヨタ製の電動モビリティに加えて取り扱うことを決めた、ネッツトヨタ和歌山の海瀬隆太郎(かいせ・りゅうたろう)社長は、「さまざまな事情で免許を返納する人が増える中、そうした人たちにも移動の自由を提供できるよう取り扱うことにした。これまで相談相手にすらなれていなかった可能性もあるので、今回、取り扱い車種を増やしたことで、さらに相談をいただけると期待している」と話しました。
WHILL株式会社日本事業部の池田朋宏(いけだ・ともひろ)執行役員本部長は、「販売店では、製品だけでなく、アフターサービスも提供してもらえるので、幅広い皆さんに製品が届いてほしい。今後は、店舗でお客様を待つだけでなく、積極的に高齢者の集まる施設に出向いたり、免許返納後の移動手段として、警察とも連携できるよう、ディーラーとともに働きかけていきたい」と話しました。
試乗会では、報道関係者らが3つのタイプのWHILLに乗り、右のひじ掛けにコントローラーがついたタイプでは、コントローラーを回してその場で360度回転したり5センチの段差を乗り越えたりしてその性能を確かめていました。
試乗会に参加した地元・湊御殿南ノ丁自治会の樫原雅忠(かしはら・まさただ)会長は、「歩くスピードと同じくらいで小回りがきいてすごく乗りやすい。この地域も高齢化率が高いので、健康で外に出歩けることが大切だが、この乗り物はそれをサポートしてくれて免許返納にも対応できる」と話しました。
3つのタイプのWHILLは、あすからネッツトヨタ和歌山の県内9つの店舗で販売されます。