石巻市・大川小に植樹 稲むらの火の館の百日紅
2023年05月05日 20時04分
広川町にある稲むらの火の館の崎山光一(さきやま・こういち)館長らがきのう(5/4)、東日本大震災で津波に襲われた宮城県石巻市の大川小学校を訪れ、交流の絆として百日紅(さるすべり)を植樹しました。
これは、東日本大震災の被災地に出向いて交流活動を行っている和歌山市青年団体協議会が、「稲むらの火」の故事を後世に伝えながら津波防災教育に取り組んでいる稲むらの火の館と、東日本大震災で児童と教員あわせて84人が犠牲になった震災遺構・大川小学校を運営する宮城県石巻市の双方に働きかけて実現したものです。
植樹の式典は、きのう、石巻市の大川小学校で行われ、稲むらの火の館から運ばれた百日紅の木が植えられました。
式典では、石巻市の阿部金也(あべ・きんや)総務部長が挨拶し、「目的を同じくする大川小学校と稲むらの火の館が連携して災害への備えの大切さを後世に伝えていく一つの象徴として百日紅の木を植樹した。和歌山の皆さんとの交流も深めていきたい」と述べました。
一方、稲むらの火の館の崎山館長は、「今後、南海トラフ巨大地震によって危険にさらされる恐れがある中で、今回の植樹を機に、互いに手を取り合って津波防災を全国、世界に発信していきたい」と挨拶しました。
また、植樹を前に、黙とうがささげられ、東日本大震災当時、大川小学校6年だった次女の真衣(まい)さんを亡くした鈴木典行(すずき・のりゆき)さん58歳は、「木を贈ってくれた人たちの思いも植えられている。その思いを大切にしながら育てたい」と語りました。
植樹の実現にこぎつけた和歌山市青年団体協議会の高垣晴夫(たかがき・はるお)会長は、「植えた木が育つに連れて、子どもも成長し、その子や孫に伝えていってもらいたいし、和歌山と石巻で互いにメッセージを送り合うことで、その記憶が、地域を超えて次の世代へつながっていくと思う」と語りました。
植樹された百日紅は、「稲むらの火」で知られる濱口梧陵の暮らした濱口家の庭に植えられていたもので、植樹されたのを機に、「ともだちの樹」と命名されています。