和歌山県戦没者追悼式 4年ぶりに開催
2023年05月05日 20時03分
太平洋戦争で亡くなった和歌山県内の戦没者を追悼し平和を祈念する「和歌山県戦没者追悼式」がきょう(5/5)、県民文化会館・大ホールで4年ぶりに開かれ、およそ350人が参列しました。
これは、県遺族連合会が毎年行ってきた追悼式を和歌山県が引き継ぐ形で実施しているもので、県が主催するようになった2013年度以降、慰霊の対象を、旧軍人や軍属の戦没者に限らず、空襲などの戦災で犠牲になった人も含めています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、県戦没者追悼式は、2020年から3年連続で中止となっていましたが、今年(2023年)、4年ぶりに開催されました。
きょう午前11時から開かれた追悼式には、感染対策のため、例年の半分にあたるおよそ270人の県内の遺族が、およそ80人の来賓とともに参列しました。
式典では、全員で戦没者の霊に黙とうを捧げたあと、主催者を代表して、岸本周平(きしもと・しゅうへい)知事が式辞を述べ、「遠く故郷を離れ、愛する家族の安寧を願いながら、戦火の犠牲になられた方々のご無念を思うと、痛惜の念に堪えず、肉親を亡くし深い悲しみを抱えながらも幾多の困難を乗り越えてこられたご遺族のご労苦を思う時、万感胸に迫るものがある。終戦以来、私たちのふるさとは、県民のたゆみない努力により、今日(こんにち)の平和と繁栄が築かれたが、この平和な生活が、多くの苦難の上に築かれたものであることを忘れてはならない。ここに、恒久平和の実現と、和歌山県のさらなる発展を御霊の前にお誓い申し上げる」と決意を語りました。
続いて、県・遺族連合会の杉本正博(すぎもと・まさひろ)会長が追悼の言葉を述べ、「私たちは現在、ともすれば、この平和で豊かな生活を、当り前のこととして享受しているが、こうした生活は、戦争で尊い命を捧げられた英霊の犠牲と、戦後の混乱期を生き抜いてこられたご遺族の苦悩の上に築かれたものであることを決して忘れてはならない。しかし、いまや日本は、戦前、戦中の体験や、戦後の混乱期を知らない国民が人口の大半を占める時代になった。今こそ、私たち戦没者遺族は、研修会などを通して、つらい悲しい戦争や、その後、歩まなければならなかったいばらの道を正しい平和の語り部として、次の世代へしっかり語り継いでいかねばならない」と語りました。
式典では、知事や県議会議員、遺族会の代表らが祭壇に花を手向けたあと、和歌山県在住の声楽家、瑞樹比美香(たまき・ひみか)さんがピアノ伴奏にあわせて「ふるさと」などの歌を斉唱し、参列者は、じっと歌を聞きながら平和への思いをあらたにしていました。