和市の鮮魚で実証実験 貨客混載輸送で県外消費地へ
2023年03月25日 15時20分
新鮮な野菜や魚などが集まる和歌山市中央卸売市場と、和歌山県外の消費地との距離を縮めるための電車を利用した鮮魚配送の実証実験がきのう(3/24)行われ、JR和歌山駅に運び込まれた鮮魚が、列車で京都へ送られました。
これは、トラックドライバーの労働時間削減が実施される来年4月以降の、いわゆる2024年問題を控え、大手宅配業者が近畿圏で行ってきた当日便のサービスが去年6月で終了したことから、これまで魚を獲ってから30時間で京都のホテルレストランまで配送できていた鮮魚が、45時間もかかるようになった現状を改善しようと、和歌山市の仲卸業者が、和歌山市を通じて、JR西日本に働きかけ実現したものです。
配送に使うのは、JR和歌山駅を発車する京都行きの特急くろしお号で、これを受けて、和歌山からの配送時間が24時間に短縮されます。このため、午後3時に水揚げされた魚が、翌日の午後3時には、京都の高級飲食店に届くことになります。
きのう和歌山市中央卸売市場で競り落とされたヒラメとヒラスズキが、4つのケースに入れられてJR和歌山駅に運び込まれ、午前9時50分発の特急くろしお号に積み込まれました。
この時間の特急の停車時間は2分間で、仲卸業者は、最も時間がかかる場合を想定してあえて1つずつケースを車内に運び、現在は行っていない車内販売を準備するスペースに入れて、わずか1分30秒でカギをかけていました。
JR西日本和歌山支社・地域共生室の下村明(しもむら・あきら)さんは、「実証実験で課題を洗い出しますが、今の段階で、準備は整っているので、本格実施は、遠い先のことではないと思います。今後、荷物の量を増やす場合には、新たに実施できる方法を模索したい」と話しました。
また、和歌山市の中央卸売市場・業務班の西林孝紘(にしばやし・たかひろ)さんは、「仲卸業者さんからの相談を受けて、列車による物流を提案しました。和歌山市には、南海本線なども走っているので、JR以外の列車も活用したい。これからも、小規模な物流に適した方法を提案していきたい」と話しました。
トラックに代わる鮮魚の輸送を模索している仲卸業者のカネナカ水産の中井一統(なかい・かずのり)社長は、「これがスタンダードになって全国でできれば、もっと物流がスムーズになり物量も増えてコストも削減できる。2024年問題に向けた、課題解決のための一つの提案にしたい」と話しました。
京都に輸送された鮮魚は、列車の遅れが出たものの、予定通り24時間以内に配送できたということです。