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和歌山地裁・生活保護費の引き下げを取消し・全国7例目

2023年03月24日 21時11分

社会福祉・医療

生活保護費の引き下げは、憲法で保障されている生存権を侵害するとして、生活保護を受給している和歌山市の10人が、国と和歌山市を相手取り、処分の取り消しを訴えた民事裁判で、和歌山地方裁判所は、きょう(24日)厚生労働大臣の裁量権を逸脱しているとして原告側の訴えを認め、減額処分を取り消す判決を下しました。

勝訴判決を喜ぶ原告ら(3月24日・和歌山地方裁判所)

訴状などによりますと、厚生労働省が物価の下落を理由に、2013年から2015年にかけて生活保護費の基準額を平均で6・5%、最大で10%削減し、受給者の生存権を侵害したとして、国と和歌山市を相手取り、処分の取り消しを訴えたものです。

原告側は厚生労働大臣が削減額670億円のうち、580億円を削減する根拠とした物価の下落による影響を考慮して、生活保護基準を調整する「デフレ調整」や、90億円削減の根拠とした低所得世帯の生活水準を調整する「ゆがみ調整」について「厚生労働省が用いた独自の物価指数が、消費の実態を適切に反映していない可能性がある」と指摘しました。

国と和歌山市は「引き下げには合理性があり、厚生労働大臣の裁量の範囲内だ」と反論していました。

一方、引き下げ処分による1人あたり5万円の損害賠償請求については棄却されました。

判決後思いを語る中山福二さん(3月24日・和歌山弁護士会館)

2014年10月に提訴した原告団のひとり・中山福二(なかやま・ふくじ)さんは「8年5か月、きょうまでかかりました。人生最高の日。生きてて良かったなと実感しています。国はもう裁判をやめて償って欲しい」と語りました。

同じような裁判は全国29の地方裁判所で行われ、これまでに、東京・横浜・大阪・熊本・宮崎・青森で減額処分取り消しの判決が出ていて、和歌山で7例目となりました。

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