熊野古道を世界遺産に登録するプロジェクト準備会 25周年記念講演会
2023年03月15日 22時43分
かつて和歌山県を舞台にした映画に出演した俳優の森田健作(もりた・けんさく)さんらを招いた講演会が、このほど(2/25)、和歌山市で開かれ、森田さんが当時を振り返り、「和歌山県にはポテンシャルがある」と熱く語りました。
これは、世界遺産の熊野古道が登録される7年前の2004年から熊野古道を保護し、地域間や世代間の交流につなげようと、登録に向けた活動を展開し、登録後は、京都から熊野までの熊野古道を、区切って毎月歩くイベントを行っている「熊野古道を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」が、発足から25年となるのを記念して開いたものです。
和歌山市の和歌山城ホール・大会議室で開かれた記念講演会では、和歌山県を舞台に、高校駅伝に取り組む教師と生徒の交流を描いた1992年公開の映画「ランニングフォーエバー」に主演した、俳優で元千葉県知事の森田さんが講演し、当時、和歌山を全国に広めたいという県青年団体連絡協議会のメンバーの熱意にほだされ、映画作りを引き受け、仲間のカメラマンやライトマンに声をかけて、低予算の映画作りに協力してもらったことを明かしました。
そして、映画を作るために、青年たちがエキストラの人や金(かね)を集めた経緯を紹介し、「皆さんが思っている以上に、和歌山県はポテンシャル(可能性)のある県。これを磨いていかないといけない。私たちが磨くことで、若い世代もあとについてくる。私なら、こんなすばらしい和歌山県の知事をやりたいと思うね」と、冗談を交え、講演を聞いていた和歌山県民にエールを贈りました。
会場には、当時の映画作りに関わった人たちも訪れ、森田さんとの再会をなつかしんでいました。
このほか、講演会では、和歌山県世界遺産センターの仲克幸(なか・かつゆき)さんが「世界遺産の現在、そして今後に向けて」と題して講演し、世界遺産の理念や登録基準などを紹介した上で、「紀伊山地の霊場と参詣道」は、「文化の道」「聖なる山」「文化的景観」の3つをテーマにした、これまでにない、日本としては珍しく挑戦的な世界遺産であることを強調しました。
講演会の後、「熊野古道を世界遺産に登録するプロジェクト準備会」の運営委員代表を務める小野田真弓(おのだ・まゆみ)さんは、「振り返れば、あっという間の25年でした。世界遺産には登録されましたが、まだまだ保全と活用が必要なので、これからも皆さんに関心を持ってもらえるよう熊野古道を歩いて世界遺産を発信していきたいし、今回は、初めて講演会に参加してくれた人がたくさんいたので、さらに輪を広げていきたい」と話しました。