新宮市「お燈まつり」コロナ禍で3年連続上り子入山出来ず
2023年02月06日 16時54分
熊野に春の到来を告げる伝統の火祭り「お燈(とう)まつり」が、きょう(6日)和歌山県新宮市(しんぐうし)の世界遺産・神倉(かみくら)神社で行われます。
お燈まつりは、およそ1400年前から続いている女人禁制(にょにんきんぜい)の神事で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
神話の時代に、神武天皇が熊野を訪れた際、高倉下命(たかくらじのみこと)がたいまつを掲げて案内したという故事がまつりの起源とされていて、神倉神社のゴトビキ岩の前で神職が焚いた火を、荒縄を腰に巻いた白装束の男衆「上り子(のぼりこ・あがりこ)」が松明に移し、538段の急峻な石段を荒々しく駆け下りる様子が見どころで、毎年、県の内外から2千人近くが参加しています。
しかし、新型コロナ禍に入った2021年から、感染拡大防止のため「上り子」の入山が禁止され、神職と、祭りの運営を補助する神倉奉賛会(かみくらほうさんかい)の会員のみで神事が行われていて、3年連続で静かな2月6日を迎えています。
当日のきょうは、神倉神社のふもとの太鼓橋付近に上り子の入山を禁止する看板が設置され、まつりの進行に協力を求めています。
神倉奉賛会の猪飼三雄(いかい・みつお)会長80歳は「新宮が最も賑わう時だけに、上り子の姿が無いと淋しいし、いつまでコロナ禍が続くのかと思いますが、我々は人がいてもいなくても、神事が行われることは同じなので、しっかりと祭りを支えるだけです」と話していました。
民謡・新宮節(しんぐうぶし)では、上り子が掲げる松明の炎が、神倉神社の参道のふもとまで一列に連なる様子を「お燈祭は男の祭り、山は火の瀧、下り龍」と唄っていて、お燈祭が終わると、熊野に本格的な春が訪れるとされています。