高校での献血の授業 今年度から看護学校でも
2022年10月20日 22時36分
若い人たちの献血に対する意識を高めようと、きのう(10/19)、紀美野町の看護専門学校で献血の授業が行われ、看護師を目指す学生が、献血の大切さを学びました。
和歌山県内では、これまで献血について学ぶ機会として、高校で授業が行われてきましたが、県は、今年度から大学や看護学校でも実施しています。
紀美野町小畑(しょうばた)の国保野上厚生総合病院付属看護専門学校で行われた授業では、今年(2022年)3月まで臓器移植コーディネーターを務めていた公益財団法人・わかやま移植医療推進協会の仲井照和(なかい・てるかず)さんが講師となり、看護専門学校の3年生およそ30人を前に、「献血学習を通して~生命(いのち)の尊さを学ぶ~」と題して講義を行いました。
この中で、仲井さんは、「昨年度(2021年度)に和歌山県内で献血した4万3千人余りのうち、年代別では、献血が可能となる16歳以上の、10代と20代が、あわせて全体の16%にとどまった一方、40代から60代までをあわせると、全体の69%にのぼる」と述べ、若い世代の献血が少ないことを指摘し、「この授業を、献血について考える機会にしてほしい」と呼びかけました。
授業では、小児がんで亡くなった子どもとその家族との日々を追った動画の鑑賞も行われ、仲井さんは、「こうした状況では、最期の瞬間まで病院で命を延ばす積極的な治療を受けるか、自然の流れに任せて最期は自宅で過ごすか、という選択肢がある。日頃から自分がどんな最期を望むか考え、家族や友人と話し合っておくことが大切」と強調しました。
講義の後、和歌山県や県赤十字血液センターの職員が、パンプレットなどを配って日本赤十字社と献血する人とをつなぐWeb会員サービスのアプリ「ラブブラッド」を紹介し、「アプリをダウンロードして活用してほしい」と呼びかけていました。
授業を受けた学生は、「高校の文化祭で初めて献血して以来、何度か献血しています。小児がんの動画を見て、いろんな人に献血を広めたいと思ったので、アプリを入れて周りに知らせたい」とか「若い人たちは、献血について知らないと思うので、学校で取り組むべき」、「これまで献血をしたことがありませんでしたが、献血で助けられる命があることがわかったので、まずはアプリを取り入れたい」と話していました。
講師を務めた仲井さんは、「献血したことのある学生は数人いましたが、献血について他の人と話したことのある学生はゼロでした。献血の普及推進のためには、いろんな知識をみんなに知らせることが大切。時間のかかる地道な活動ですが、和歌山県も力を入れてくれいるので、私たちは、正確な情報の発信につとめていきたい」と話しました。
県薬務課の辻昌吾(つじ・しょうご)さんは、「いま献血を支えてくれているのは40代や50代。今後、こうした世代が引退していく中で、若い人たちの力が必要になります。このため、和歌山市を中心に、大学や専門学校が増えてきていることを踏まえ、今年度から対象を拡大して学生の意識向上を図っています。県としては、今後も献血を推進するため事業を進めていきたい」と話しました。