医大法医学講座・第5回沖縄遺骨収集事業報告
2022年09月29日 15時37分
和歌山県立医科大学の法医学講座による沖縄戦の遺骨収集事業報告会が、きょう(29日)行われ、沖縄県糸満市(いとまんし)の洞窟から見つかった遺骨や遺留品についての考察が示されました。
この取り組みは、県立医大・法医学講座が沖縄のボランティア団体の依頼で毎年行っているもので、5回目となる今回は、先月(8月)近藤稔和(こんどう・としかず)教授や医学部4年生の安田啓喜(やすだ・はるき)さんらが、糸満市の荒崎(あらさき)海岸を訪れ、沖縄戦で防空壕(ぼうくうごう)として使用されていた「ガマ」と呼ばれる狭いほら穴で見つかった戦没者の遺骨や遺留品の調査結果を、報道関係者に報告しました。
安田さんは、成人に混じって見つかった胎児のものとみられる遺骨から、母親も一緒にガマにいた可能性や、頭がい骨や頸椎(けいつい)、膝のお皿の骨などから、当時ガマに何人が隠れていたのかを推定出来ると指摘しました。
その上で安田さんは「風化が激しく、獣の骨も混じるなど、戦没者の遺骨かを見極めるには法医学の見識が必要です。特に歯は硬いエナメル質で覆われていて、戦後75年以上経過した現在でも、DNA鑑定などの出来る可能性も高い。遺留品の中には名前の入ったくしが見つかり、遺族特定の一助になる」と述べました。そして「医師として、医療現場だけでなく、外部のボランティア活動でも医療の知識を活用出来る事を学べて、大変有意義でした」と総括しました。
また、近藤教授は「我々法医学が手伝えるのは、DNA鑑定などを行うことで遺骨の身元確認の一助になること。これに歯科医も加わることによって、より精度の高い鑑定が出来るようになる。沖縄では戦後75年以上経っても遺骨問題が続いていることを痛感する」と話しています。