近大生物理工学生消防団、官学連携の災害ワークショップ
2022年06月10日 18時47分
近畿大学生物理工学部の学生消防団は、このほど(5/27)、別の大学や警察、消防、自治体とオンラインで結び、官学連携の災害対策ワークショップを開きました。
これは、市民を交えた防災まちづくりの取り組みなど災害対策の事例や災害時の対処方法などを学ぼうと、近畿大学生物理工学部の学生消防団が、関係機関に呼びかけて共催で開いたものです。
ワークショップでは、はじめに市民協働の防災対策を専門とする東京大学生産技術研究所の加藤孝明(かとう・たかあき)教授が、「地域社会で地震災害に備えるツボについて」と題して講演しました。
この中で、加藤教授は、「防災は、現場先行、国(くに)後追いが本来の姿。現場で先導的なモデルを作り、それを国が参照して制度化し全国に展開するので、紀の川市などの地方で、先導的なモデルを構築して実証し、大学の研究所がサポートする形で展開すべき」と指摘しました。
そして、自助・共助・公助のあり方について加藤教授は、「その地域で起きる被災状況を事前に理解し、自助・共助・公助のそれぞれがどの程度の能力を持っているかを互いに理解しておくことが必要」とした上で、「足りない部分が見えてくれば、それを補い、持続できるようになる」と述べました。
また、加藤教授は、「公助と共助の担い手が、互いの限界を理解し、対応できる部分に限ってリスクを小さくしていくための議論をする場と雰囲気が重要で、行政は、前を走る市民の後ろから追いかけて支援する姿勢が大切」と強調しました。
この後、近畿大学生物理工学部の学生消防団と和歌山県警察本部、那賀消防組合消防本部と紀の川市が、それぞれの取り組みを紹介しました。
このうち、近畿大学生物理工学部の学生消防団の取り組み紹介では、近畿大学参事の中道芳正(なかみち・よしまさ)さんが、3年前に立ち上げた学生消防団に、この春から初めて女子学生6人が加わり、20人の体制となったことや、放水訓練や救命講習を行ってきたことを説明し、「学生消防団の発足以降、教職員や学生の防災意識が高まってきている」と強調しました。
これに対し、東京大学の加藤教授は、「まつりも開けなくなるような地域の衰えをどうカバーするかが課題となる中、学生消防団の取り組みはとても重要」と評価しました。
このワークショップに参加した近畿大学学生消防団のリーダーで、近畿大学大学院生物理工学研究科2年の廣瀬祐大(ひろせ・ゆうだい)さんは、「地域の消防団では高齢化が進んでいて、学生消防団への期待が高まっていると聞いたので、これからの活動に対する意欲が高まりました。実際に火災が起きた時に行動できるよう備えたい」と決意を語りました。