和歌山城の桜再生へ 県造園協会×和市・協定締結
2022年02月15日 15時28分
和歌山城の桜を再生させるため、県内の造園業者が樹勢の回復などに取り組むことになり、きょう(2/15)、和歌山城を管理する和歌山市との間で協定書を取り交わしました。
これは、来年で創立50周年を迎える和歌山県造園建設業協会が、今年と来年の2ヶ年の事業として和歌山市に協力を申し出たもので、きょう午前、和歌山市役所の市長室で作業内容などを記した協定の調印式が行われ、県造園建設業協会の吉本忠生(よしもと・ただお)会長と尾花正啓(おばな・まさひろ)市長がそれぞれ協定書にサインしました。
和歌山城には、ソメイヨシノやシダレザクラなど13種類およそ600本の桜がありますが、協定の対象となるのは、和歌山城公園の大手門から岡口門までの間にあるおよそ240本で、今月22日と23日に協会のメンバーおよそ30人が出て樹勢回復のための治療剪定や、倒木の恐れなど危険のある桜の木を除去する作業を行います。その後は、来年の夏まで、半年に一度のペースで経過を観測し、必要な措置を講じることになります。
県造園建設業協会の吉本会長は、「桜の再生事業を企画する中で、県内でもメインになる和歌山城の桜に取り組むため、和歌山市に相談した。見た目にはきれいな桜も、現実は瀕死の状態。長年の蓄積が原因だが、これを今の段階で治療し更新していかないと、何年後かには、和歌山城の桜が半減してしまう恐れもある。これからも和歌山城が桜の見どころであり続けられるよう取り組みたい」と語りました。
調印式に同席した県造園建設業協会の顧問で日本樹木医会和歌山県支部の山本聰洋(やまもと・としひろ)支部長は、「2013年に行われた和歌山城内の桜の調査を担当したが、当時と比べて除去しなければならない桜の木は、今回の作業範囲に限ると、2倍に増えている。40センチ程度掘り返して土壌を入れ替えられればもっと早く回復すると思うが、和歌山城は、国の史跡に指定されているので、掘削に制限があり、最も大きなネックとなっている。今回、行う剪定などは短期的な効果を見込めるものの、対症療法的なので、根治に向けて土壌改良ができるよう文化財の部署と協議しながら進めていければ」と話しました。
和歌山市の尾花市長は、「一の橋から入ってすぐのシダレザクラから二の丸にかけての桜の通りは、とてもきれい。是非、復活してもらえればありがたい」と述べ、協会の取り組みに期待を寄せています。