ENEOS和歌山製油所 需要減で来年10月停止へ
2022年01月25日 19時40分
石油元売り大手のENEOS(エネオス)はきょう(1/25)、有田市にある和歌山製油所を、来年10月をめどに停止すると発表しました。
これは、きょう午後1時からエネオスの大田勝幸(おおた・かつゆき)社長がオンラインで記者会見して明らかにしたものです。
エネオスの和歌山製油所は、前身の東亜燃料工業時代の1941年に操業を開始し、太平洋戦争時には、アメリカ軍の空襲で壊滅的な打撃を受けましたが、戦後、操業を再開し、現在は、原油を処理してガソリンや重油を生成しているほか、衣料品やペットボトルの原料になる化学品を製造しています。
記者会見で、エネオスの大田社長は、操業停止するにあたっての思いや理由について、「地域の皆さんにかわいがっていただいた長い歴史を踏まえると、和歌山製油所は、当社にとって特別な事業所で、そのような製油所の機能を停止せざるを得ないのは断腸の思い。しかし、人口減少や脱炭素化の流れ、車両のEV化など、構造的な要因により石油製品の内需減少は避けられない状況で、原油調達から製品の配送に至るサプライチェーン全体の効率化による競争力強化に努める中で、和歌山製油所についても、事業存続を含め、検討を重ねてきたが、今回、やむなく、製油所機能の停止という判断に至った。厳しい事業環境の中で、社会的使命を果たすためには、競争力の強化が急務で、そのためには、内需減退に応じた生産能力の最適化が不可欠であるという苦渋の決断であることをご理解いただきたい」と述べました。
また、和歌山製油所で働くエネオスの従業員およそ450人について、大田社長は、転勤などで雇用を継続する考えを示した一方、地元の協力会社のおよそ900人については、「今後、丁寧に説明する」と述べました。
和歌山製油所の今後について、太田社長は「来年10月の操業停止後、およそ2年かけて製油所の無害化などの工事が必要になるので、協力会社の相当数の皆さんにも、引き続き、そうした業務に携わってもらうことになる」という見通しを示しました。
また、跡地利用については、今後、再生可能エネルギーやバイオマス発電、バイオ系のジェット燃料の製造など新しいエネルギー供給に寄与できる事業を検討するほか、「地元の皆さんと意見交換して企業誘致も含めて幅広く検討していきたい」と述べました。
エネオスは、2019年に北海道の室蘭製造所、2020年に大阪製油所、2021年に愛知県の知多製油所をそれぞれ停止するなど、過剰な生産設備を縮小する一方で、再生可能エネルギー発電会社の買収を発表するなど、事業構造の転換を進めています。