【新型コロナ】県内誹謗中傷、感染の波にあわせて相談増加
2021年08月30日 20時49分
新型コロナウイルスの感染拡大に伴っていわれのない誹謗中傷が後を絶たない中、和歌山県内では、初めて県内で感染が確認された去年(2020年)2月以降、今年7月までのおよそ1年半の間、県庁には、あわせて70件以上の相談が寄せられています。
和歌山県は、去年12月、全国に先駆けて新型コロナ関連の誹謗中傷の防止に特化した条例を制定・施行し、誹謗中傷をした人への指導や、インターネットによる情報提供を行うプロバイダなどの事業者への削除要請、専用の相談窓口を設置するなど、誹謗中傷対策に取り組んできました。
去年2月13日に湯浅町の病院で県内初の感染者が確認され、その後、この病院が全国初の院内感染によるクラスターとなりましたが、県内では、このときから、新型コロナウイルスの関連で、いわれのない誹謗中傷や偏見が発生しています。
県の相談窓口には、去年2月に、差別や誹謗中傷に関する相談1件が寄せられ、その後、第一波のピークだった去年5月に4件、第三波のピークとなった今年1月に14件、また第四波では、今年5月に12件の相談が寄せられるなど、感染者数の増減にあわせて相談件数も増えたり減ったりしています。
寄せられた相談の中には、「感染拡大地域に行っていないにもかかわらず、その地域へ行ってコロナに感染したというデマがインターネットの掲示板に書き込まれた」、「コロナに感染した従業員が働いているというデマを流された」といった根拠のない誹謗中傷や、「感染から復帰した後に、上司から『散々休んだのだから、降格しろ』」と言われたり、「新型コロナワクチンを接種しないのであれば、仕事をやめるよう上司から言われた」人もいました。
また、「クラスターが発生した後、保健所の指導で店舗を再開しようとした際、近隣の店から再開しないでほしい」と言われたケースや「自治会の掲示板に、感染者が特定できるよう張り紙をされた」という人もいました。
インターネットの書き込みについて、県は、条例をつくる前の去年10月中旬から、振興局の人権担当職員らと手分けをして、モニタリングを行い、その内容をチェックしていて、今年7月までの1年9カ月余りの間に、県民に対する80件の誹謗中傷の書き込みを確認し、その都度、サイトの管理者に削除を要請したり、法務局に削除の依頼を行ったりしていますが、実際に削除されたのは18件にとどまっています。
この1年半ほどの間に、73件の相談が寄せられていることについて、和歌山県人権施策推進課の佐伯友希(さえき・ゆき)さんは、「電話相談では、不安でいっぱいな人が、泣いてかけてくる人もいます。73件という数字が多いのか、少ないのか、ということではなく、1件でも相談があることを深刻に受け止め、ゼロになるよう取り組んでいきたい」と話し、「躊躇せずに相談を寄せてほしい」と呼びかけています。
和歌山県のコロナ差別相談ダイヤルは、電話073・441・2563(繰り返し)です。祝日を除く月曜から金曜の、朝9時から夕方5時45分まで受け付けています。