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経済的困窮で医療手遅れ死亡・和歌山県民医連が指摘

2021年08月19日 15時33分

社会福祉・医療

経済的困窮で無保険となっていた和歌山県内の70代の女性が、医療機関の受診が遅れて手遅れとなり死亡したとして、和歌山県民主医療機関連合会は、国民保険法に基づく医療費の窓口負担の減免や、適用範囲の拡充などの必要性を改めて訴えています。

民主医療機関連合会の全国組織が、加盟する全国706の事業所を対象に、去年(2020年)1年間で、国民保険料が払えずに、無保険や、資格証明書、短期保険証発行などの状態になり、病状の悪化や死亡に至ったと考えられる事例や、保険証を持っていても、経済的な理由で受診が遅れて死亡したと考えられる事例を調査しました。

このうち和歌山県では、乳がんが悪化したため家族に連れられて県内の病院に入院した70代の女性が、すでに手遅れの状態で、10日後に死亡した1件の事例が報告されました。

報告によりますと、女性には多額の借金があり「世間に知られたくない」との理由で生活保護を拒否していたほか、国民保険の加入もしておらず、およそ7~8年前から乳がんを指摘されましたが、経済的困窮を理由に積極的な治療を希望せず、放置していたということです。

県・民医連の藤沢衛(ふじさわ・まもる)事務局長は「社会保険や社会保障からこぼれ落ちた事例。もっと早くソーシャルワーカーなどに相談できれば救えた命かもしれない」と指摘しました。

あわせて、ことし(2021年)1月から県・民医連が開設した無料の電話相談の事例も紹介し、新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり、収入が激減したりした人が、医療費を切り詰めるために、受診や薬の接種を控えている現状を訴える声が相次いでいるとして、藤沢事務局長は「国民保険法44条に基づく医療費窓口負担の減免や、77条の保険料の減免の適用範囲の拡充や申請手続きの簡素化などを改めて行政機関に訴えなければならない」と述べ、抜本的な対策の必要性を強調しました。

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