わたぼうし音楽祭、太地町・野澤さんに審査員会特別賞
2021年08月01日 22時02分
障害のある人たちが書いた詩に公募で曲をつけた歌や、障害者自らが作詞・作曲した歌のコンテストを兼ねた「第46回わたぼうし音楽祭」がきょう(8/1)、オンラインで開かれ、太地町の野澤大輔(のざわ・だいすけ)さん36歳の「僕の一日」が審査員会特別賞に選ばれました。
「わたぼうし音楽祭」は、障害のある人たちの思いがこもった歌詞に光を当てようと、ボランティア団体の奈良たんぽぽの会が1976年から開いているもので、46回目の今年(2021年)は、作詞の部と作詞・作曲の部にあわせて780点が寄せられ、この中から入選した8つの作品が、きょうの音楽祭にのぞみました。
知的障害があり太地町のグループホームで暮らす野澤さんは、新宮市にある作業所まで毎日、電車とバスを利用して通勤していて、作詞・作曲した「僕の一日」には、作業所でパンを焼いていることや、お風呂に入った後、ギターを弾いていることなどがつづられています。
音楽祭は、去年に続いてオンラインで行われ、8つの作品が、それぞれの作詞作曲者のもとを訪ねた紹介動画とともに披露されたあと、インターネット投票が行われました。その結果、野澤さんの「僕の一日」が3つある賞のうち「審査員会特別賞」を受賞しました。
審査の講評では、「『僕の一日』が、審査員の間で一番話題になりました。ここまで言うかというくらい、何気ない日常が書かれていて、歌のフレーズが頭にこびりついています」と評価されていました。
このほか、「文部科学大臣賞」には、脳性まひで多くの書画を残しながら去年8月に23歳で亡くなった、山梨県の小林浩太朗(こばやし・こうたろう)さんが作詞した「目にうつるものだけがほんとではないよ」が、そして「わたぼうし大賞」には、目の不自由な千葉県在住の蔦澄夫(つた・すみお)さん65歳が作詞した「自由」が、それぞれ選ばれました。
「審査員会特別賞」を受賞した野澤さんは、新宮市佐野にある勤務先の「ワークショップゆう」で施設長の野々江美(のの・えみ)さんら職員や友人らとともに、結果発表を見守りました。
野澤さんは、「めっちゃうれしいです。受賞発表を待つ間は、ドキドキで、発表を聞いたときは、ほんとに決まったのかなと思いました。来年の音楽祭にも応募したいです」と話していました。
野澤さんの母・宮子(みやこ)さんは、「応援のメールやラインがたくさん寄せられるのを見ていて、息子が、地域で生きていることがよくわかり、うれしかったです。障害があるとかないとか関係なく、楽しく生きているのだろうなと思うことができました」と話していました。
野澤さんは、自ら作詞・作曲した4曲を含む全6曲が収録された初めてのミニアルバムを今月(8月)7日に発売するとともに発売記念のライブを行うことにしています。ライブは、今月7日の午後2時から太地町地域福祉センター「梛(なぎ)」で開かれます。