双方の安全管理が不十分と指摘、運輸安全委報告書
2025年05月29日 17時10分
紀伊水道で、おととし(2023年)、愛媛県の貨物船が、リベリア船籍のコンテナ船と衝突して沈没し、船長と航海士が死亡した事故で、国の運輸安全委員会はきょう(29日)、双方の安全意識や安全管理が不十分だったとする調査報告書を公表しました。
この事故は、おととし8月24日深夜、日高町の北西およそ15キロの紀伊水道で、愛媛県今治市の海運会社が運航する貨物船「いずみ丸」が、リベリア船籍のコンテナ船と衝突して沈没し、「いずみ丸」の船長と航海士が死亡しました。
報告書によりますと、事故当時、「いずみ丸」の当直だった2等航海士は、海図台で作業していて、見張りを怠り、コンテナ船が、間近に迫るまで気付きませんでした。一方、コンテナ船の3等航海士は、近づいてくる「いずみ丸」を認識しながら、「避けてくれる」と考えて、危険性を軽視し、無線電話での意図確認や、汽笛などで警告するといった適切な対応を取りませんでした。
このため、それぞれに、回避するための操船が遅れ、衝突したもので、いずみ丸の1等航海士が遺体で見つかり、行方不明となった船長は死亡認定され、他に乗組員3人が重傷を負いました。