補陀洛山寺で渡海上人を供養/和歌山県那智勝浦町
2025年05月17日 18時06分
那智勝浦町の世界遺産、補陀洛山寺(ふだらくさんじ)で、きょう(17日)、平安時代から江戸時代にかけて、海のかなたにあると伝わる浄土を目指して、小舟をこぎ出し再び帰らなかった「渡海上人(とかいしょうにん)」と呼ばれる僧侶の供養が行われました。
本尊が開帳された本堂で、法要と護摩焚きが行われ、補陀洛山寺の高木智英(たかぎ・ちえい)住職らが裏山にある上人の墓前で読経しました。
小舟で旅立った僧侶は20人以上と言い、わずかな食料と水などを積んだ小舟に乗って、近くの浜から出発し、死の直前まで読経していたとされます。江戸時代には、亡くなった僧侶を送る水葬の形に変わりました。また、寺には1993年に復元された小舟があります。
岡山県笠岡市から訪れた僧侶は寺の信徒およそ20人と参拝し、即身成仏する覚悟で海へ旅立った上人の墓前で手を合わせ、「感慨深かった。笠岡は漁業関係者も多く、航海の安全を祈りました」と話しました。