米不足で新宮市の老舗米店が閉店に追い込まれる

2025年05月07日 18時40分

社会経済

米の高騰による米不足が続き、安定した米の仕入れが不可能になったとして、創業120年に及ぶ新宮市の米穀店が、先月末(4月)で閉店したことがわかりました。

閉店に追い込まれたのは、新宮市中心部で明治30年ごろから120年あまりにわたって営業してきた老舗()の米穀店で、新宮市内には現在米穀店が2件しかありません。

この店は、和歌山県内と三重県内の市場から米を仕入れてきましたが、2024年の秋頃から米不足で価格が高騰し、新潟産コシヒカリ60キロの仕入れ価格が、これまで2万円台だったのが、現在は倍以上の5万円台にまで跳ね上がり、小売りにすると10キロあたり1万3千円ほどになってしまう異例の状態になっています。

店では、独自の仕入れルートも活用して、懸命に小売り価格を抑えようと努力しましたが、このルートからの仕入れも出来なくなり、営業を続けることが困難になりました。

店では、一般の小売り販売のほか、地元の小・中学校や幼稚園のほか、飲食店など業務用の卸売りも行っていますが、これらへの供給も6月にも枯渇してしまうことや、早場米()新米()が出回るまでの間、販売が困難で、店主も高齢になったことからこれ以上の営業は難しいとして、4月末での閉店を決断しました。

和歌山放送の取材に対し、75歳の店主は「政府は備蓄米を放出したというが、輸送トラックの確保や精米、一時保管倉庫の確保などを視野に入れておらず、市場に出回らないのは当然だ」と国の対応の甘さを憤りを隠せない様子で話しました。

地元紙に掲載された閉店告知

この米穀店は、地元紙に閉店を告知する広告を掲載し「長い間本当にありがとうございました。感謝でいっぱいです」と、無念の表情を、長年の顧客や地元の人に率直に伝えました。

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