南海トラフ巨大地震・死者想定が最大29万人に

2025年04月01日 18時25分

政治災害・防災社会経済

南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大で29万人あまりが死亡するというあらたな被害想定を、政府の作業部会が3月31日に発表しました。

部会は、前回・2012年の想定では死者を32万3千人とみて、被害抑制の対策に取り組んできましたが、今回は最大29万8千人と、1割の減少にとどまっています。

これは、地形データの見直しに伴い、津波の浸水エリアが広がったことが大きく影響し、政府が掲げる死者数の「おおむね8割減少」とした目標には遠く、避難対策やインフラ整備の大幅な見直しが求められそうです。

また、避難者数も、前回の最大950万人から1230万人に増えていて、全人口の1割に当たります。

さらに、震度6弱以上か、高さ3メートル以上の津波に見舞われるのは31都道府県のあわせて764市町村、経済被害額は最大270兆円にのぼるとみられ、前回の214兆円から膨らむと想定されます。

一方、全壊や焼失する建物は、住宅耐震化などの効果で最大235万棟と、わずかに減るとしています。

これを受け、和歌山県の岸本周平知事は「前回と比較すると、津波浸水面積はおよそ1割増えているが、死者数は1万5千人減少し、その大部分は津波によるものだ。この10年間の「津波避難タワーの建設」や「津波避難ビルの指定」などの避難対策や、建物の耐震化率の上昇が反映された結果と考える。県では、今回公表された「半割れケース」や「災害関連死」などの新たな項目も踏まえてより詳細な被害想定を行う」とコメントし、今後、有識者による検討委員会の助言を得ながら、2025年度中の公表を目指す方針を示しました。

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