夜間中学に通い、妻にラブレター、実話を映画化、3月全国公開/和歌山・奈良
2025年01月22日 16時37分
読み書きができず、苦労を重ね、20年間かけて夜間中学に通った和歌山県出身の89歳の男性が、妻にラブレターをおくるまでの実話を描いた映画が完成し、3月から全国公開されます。
この映画は、塚本連平(つかもと・れんぺい)監督の「35年目のラブレター」で、現在、奈良市に住む西畑保(にしはた・たもつ)さん89歳の実話に基づいたストーリーとなっています。
西畑さんは、現在の小学校にあたる国民学校でいじめを受けて不登校となり、10代から働き始めました。30代で結婚し、長年支えてくれた妻に、感謝の手紙を書きたいと、64歳で奈良市の夜間中学へ入学しました。そして、「君のおかげで今の僕があります」などと書いたラブレターをおくったことが話題になり、映画化につながりました。
映画では、西畑さんの役を落語家の笑福亭鶴瓶(しょうふくてい・つるべ)さん、その妻・皎子(きょうこ)役は原田知世(はらだ・ともよ)さん、また、出会った頃の2人を、男性アイドルグループWEST(ウエスト)の重岡大毅(しげおか・だいき)さんと上白石萌音(かみしらいし・もね)さんが演じています。
舞台となった奈良市で、今月(1月)20日に開かれた試写会であいさつした塚本監督は、映画化までを振り返り「西畑さんが書いたラブレターを見て、すごく心を打たれました。素朴ですが、愛情にあふれていました」と語り、西畑さんも登壇し「一人でもたくさんの人に見てもらいたい」と笑顔を見せました。
映画は3月7日から全国公開され、和歌山県内では、いずれも和歌山市のジストシネマ和歌山とイオンシネマ和歌山で上映されます。
ところで、文部科学省によりますと、夜間中学は、全国24都道府県にあわせて53校あります。そして、近年、需要が高まっているとして、文科省では、各都道府県と政令指定都市に少なくとも1校を設置するよう、自治体に促しています。
和歌山県では、今年4月に和歌山市に開校するほか、来年(2026年)4月に新宮・東牟婁地方で開校したい考えです。