田辺市が明治大学で世界遺産20周年記念「南方熊楠と熊野」シンポジウム開催
2024年12月15日 18時58分
和歌山県出身の世界的な博物学者・南方熊楠(みなかた・くまぐす)が、標本採取や鎮守の森の死守に奮闘した熊野(くまの)との深い関係を、専門家の講演やパネルディスカッションで学ぶ田辺市主催のシンポジウム「南方熊楠と熊野」が、きょう(12月15日)東京の明治大学で開かれ、およそ500人が参加しました。
これは、「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」の世界遺産登録20周年を記念して、田辺市が和歌山県などの後援で開いたものです。
はじめに、第26回南方熊楠賞受賞者で思想家・人類学者の中沢新一(なかざわ・しんいち)さんが「熊野にわけいった熊楠」と題して基調講演しました。
中沢さんは背景となる熊野三山の信仰を紹介した上で、「熊野信仰は森羅万象すべてが平等な存在で、繋がりあいながら世界や宇宙を作るという原始的な宗教哲学がベースで、そこに出現した熊楠は、西洋文明にコンプレックスを感じず、東洋や日本の文明を同等にとらえて自らの研究を突き詰めていった。那智(なち)の山中にこもり、生と死の根源を華厳経(けごんきょう)と植物学から見抜いた熊楠は、粘菌(ねんきん)にそれを見いだした」と指摘しました。
続いて、南方熊楠顕彰会の理事を務める慶応大学の志村真幸(しむら・まさき)准教授の進行でパネルディスカッションが行われ、基調講演の中沢さんや、田辺市の真砂充敏(まなご・みつとし)市長、小説家の島田雅彦(しまだ・まさひこ)さん、紀行作家の髙森玲子(たかもり・れいこ)さんらが、熊楠が熊野から見いだしたものや、世界遺産登録20周年を迎えた熊野の未来の姿を、それぞれの視点から語りました。
また、シンポジウムでは、JA紀南から、来場者に、田辺市産の温州(うんしゅう)みかんがプレゼントされました。