紀北農芸高校の部活中死亡事故・和解で調整/和歌山
2024年11月26日 17時52分
かつらぎ町にある県立紀北農芸高校で、2017年9月、部活動中の2年生の女子生徒がランニング後に倒れて、死亡し、当時の教職員らが注意義務を怠ったとして、遺族が県を相手取り、8500万円の損害賠償請求訴訟を起こしていたことがわかりました。その後、遺族と県側が裁判所の勧告を受け入れ、和解に向けた交渉を行っています。
県教育委員会によりますと、2017年9月6日、部活動中だった当時17歳だった2年生の女子生徒が、往復およそ4キロのランニングを終えた直後に倒れ、意識不明の状態となりました。この生徒は教職員らの通報で病院に救急搬送されましたが、9月19日に死亡しました。
事故から2年後、遺族が「学校側は注意義務を怠り、子どもが熱中症を起こした死亡した」として、県を相手取り、およそ8500万円の損害賠償請求訴訟を和歌山地方裁判所に起こしましたが、去年(2023年)12月、和歌山地裁は「当日の熱中症の危険度は5段階のうち2番目に安全な状況だった。教職員は速やかに生徒を救急搬送したほか、事前に熱中症対応の研修を受けていた。学校側に過失は無かった」として遺族の訴えを退け、遺族は大阪高等裁判所に控訴しました。
死亡した女子生徒には持病があり、死因が熱中症か持病によるものかも争われましたが、平行線をたどったため、大阪高裁が和解金300万円を支払う和解案を提示し、県はそれを受けて交渉しています。
この問題については、当初、学校内のごく近い範囲にしか公表されず、7年が経ったきょう(26日)はじめて公表され、県の12月補正予算案に和解金が計上されることになりました。公表が遅れたことについて県教育委員会では「生徒の持病が個人情報の特定につながるおそれがあり公表を控えていた。
学校側の注意義務違反も無かったと判断されたが、生徒1人が亡くなったことを重くみて、高裁の提案も受け入れ、遺族に和解金を支払い、今後の熱中症対策にも万全を期すことで対応する考えだ」と話しています。
補正予算案は、12月3日に開会する12月定例県議会に提案される予定で、県では引き続き遺族と交渉を進めていくことにしています。