鑑賞中に避難 吹奏楽コンサートで防災訓練

2024年03月06日 20時31分

イベント災害・防災社会

音楽コンサートの最中に地震が発生したという想定の避難訓練が、このほど(3月2日)上富田文化会館で開かれ、観客が体勢を低くして頭を守り、職員の誘導で屋外に避難しました。

これは、上富田文化会館を運営する上富田町教育委員会が、近い将来発生すると危惧される南海トラフ巨大地震に備え、町民に、会館での催し物を楽しんでもらいながら、防災意識を高めてもらおうと主催したものです。

地震発生前のコンサート

この日、開かれたのは、田辺市消防団音楽隊のコンサートで、演奏した8曲のうち、6曲目が始まってほどなく、館内に緊急地震速報の音声が鳴り響き、地鳴りのような地震の音が流れ、照明が暗くなる中、観客は、床に伏せて頭を守り、地震の音が鳴りやむと、館内放送の指示に従って屋外に避難しました。

発災想定直後の様子
演奏者も低い姿勢

避難誘導にあたったのは、上富田文化会館の職員ら9人で、会館前の駐車場に集まった観客に列を作るよう指示し、点呼をとって146人の観客全員が避難したかどうかを確認していました。

先頭が手を挙げて列を作る

避難訓練コンサートに参加した小学5年の男の子と両親の親子連れは、「訓練込みのコンサートは初めてだったので、子どもを誘って参加しましたが、とても緊張しました」「急に音が鳴ってびっくりした」「コンサートも楽しめて避難も体験できたのでよかったです」と話していました。

田辺市消防署上富田分署の田中義高(たなか・よしたか)分署長は、訓練後の講評で「訓練は、非常にスムーズでした。出演者、スタッフ、来場者それぞれの立場で地震が起きた時にどのような行動をとればよいか、自分の行動を見直す良いきっかけになったのではないか」と述べ、開催した意義を強調しました。

講評する田中分署長

主催した上富田町教育委員会の那須文彦(なす・あやひこ)さんは、「これまで火災を想定した避難訓練を行ってきましたが、今回は、関東地方などで行われているコンサート中の地震発生による避難訓練を行おうとさまざまな準備を進めてきた結果、スムーズに避難誘導することができました。参加者へのアンケートをもとに次の課題を設定し、2回目を実施したい」と話しました。

コンサート前に低い姿勢の取り方などを説明した那須さん

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