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被災地支援から始まった交流 防災意識の向上へ

2024年02月09日 21時19分

災害・防災社会

東日本大震災の被災地・宮城県内の更生保護団体のメンバーが、このほど(2月4日~6日)、和歌山県内を訪れ、被災体験を語り、南海トラフ巨大地震に備える住民と意見交換しました。

意見交換する参加者(2024年2月4日・和歌山市片男波集会所で)

これは、東日本大震災が発生した2011年に、被災地に支援物資を届け、翌年以降、和歌山から運んだみかんを使って、現地の子どもたちにゲームを楽しんでもらう「みかん狩り運動会」を行っている和歌山県BBS連盟と、被災地の受け入れ先となっている宮城県BBS連盟による交流の一環で、今回、初めて宮城県のメンバーが、和歌山県を訪れました。

宮城県BBS連盟は、大学生3人を含む6人で和歌山県を訪れ、今月(2月)4日に和歌山市の片男波集会所で地元自治会のメンバーから独自の取り組みを聞き、東日本大震災の体験を語りました。

体験談を語る森さん

仙台市宮城野区に住む宮城県BBS連盟の森義道(もり・よしみち)会長は、発災当時、現場で指揮する消防団員として、消防署で自衛隊のヘリコプターから送られてくる仙台市沿岸の映像を眺め、津波に流される人や建物の様子を見ていました。

森さんは、「現場では、死体に触らず、旗を立てる作業を続けた。今回のような交流を通じて、体験を共有することで、何かあったときに、助け合うことができると思う」と語りました。

森さんは、震災で、普段、おだやかな近隣住民が炊き出しなどを巡って言い争う場面を見てきた経験から「大災害が発生すると、人が、人としての倫理を持って過ごすことは難しい」と指摘しました。

また、普段から、飲み会などを通じて行政の防災担当者や小中学校の校長と、意思の疎通を図る必要性を強調しました。

交流の中で、16年前から行っている、要援護者をリストアップした「災害時助け合い登録書」の作成など、和歌浦地区片男波自治会の取り組みを紹介した玉置成夫(たまき・しげお)前会長は、「私たちは、実際に大震災を体験したことはないので、被災地の皆さんの話を聞けて、とても役に立った。地域が高齢化する中で、人口も減っている。若い人たちに防災意識をもってもらえるようさらに取り組んでいかないといけないと思った」と話しました。

自治会の防災の取り組みを説明する玉置さん

和歌山県BBS連盟の高垣晴夫(たかがき・はるお)会長は、「交流が始まって13年。ずっとこちらから行くのみだったのが、被災後、エネルギーが湧いてきてこちらへ来てくれたのがうれしい。今後は、来てくれた人に、もっといろんな人に会ってもらって関係人口を増やし、逆に宮城へ出かける人も増えれば」と話しました。

挨拶する高垣さん

宮城県BBS連盟のメンバー6人は、今月4日から6日にかけて和歌山県内を巡り、各地で交流しました。

稲むらの火の館で崎山館長から濱口梧陵について説明を受ける一行

このうち、6日には、広川町の稲むらの火の館を訪れ、崎山光一(さきやま・こういち)館長から、濵口梧陵(はまぐち・ごりょう)の偉業について、詳しく説明を受けると、メンバーの東北福祉大学3年の久道彩音(ひさみち・あやね)さんは、「これまで濱口梧陵の名前を知らなかった。東日本大震災で知り合いが家に戻って命を落としたが、稲むらの火のことを知っていれば、助かっていたかもしれない」と話していました。

(左から)久道さん、太田さん、鈴木さん

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