和歌山県道八郎山トンネル施工不良・淺川組が陳謝
2024年01月17日 17時21分
和歌山県が発注し那智勝浦町と串本町の間に建設中の、県道・八郎山(はちろうやま)トンネルのほぼ全ての区間にわたって、天井部分のコンクリートに空洞が発生した施工不良問題を受け、工事を受注した和歌山市の淺川組(あさかわぐみ)は、きょう(17日)記者会見を開き、西口伸(にしぐち・しん)社長が陳謝した上で、コンクリートをいったんはがして、吹きつけ工事のやり直しに着手したことを明らかにしました。
やりなおし工事などの費用は、およそ20億円かかる見込みで、これらはすべて淺川組が負担し、完了にはおよそ2年かかるということです。
八郎山トンネルの施工不良を受け、県では、去年(2023年)10月から先月(12月)にかけて、有識者による技術検討委員会を開いて原因について協議した結果、天井部分に吹き付けるコンクリートの厚さが不足していたことや、工期に間に合わせようと、担当者が県に虚偽の報告をして検査をすり抜けていたことが指摘されました。
淺川組では、コンプライアンス委員会を開いて社内調査をした結果、現場所長が本社に相談せずに独断で虚偽報告を行ったことの原因として「本社と現場との風通しが悪かった」「安全性への意識が低かった」「内部通報の制度が無く、現場所長を超えた報告が難しい社風だった」といった問題点を指摘し、従業員の相談体制の整備や、品質チェックの人員増強などで体質改善に取り組み、再発防止に努める方針を示しました。
コンプライアンス委員長の松川雅典(まつかわ・まさのり)取締役は「このような事態を真摯に受け止め、社内体制を強化し、実効性を高め、信頼回復に全力を挙げて取り組む」と述べ、再発防止に努める考えを強調しました。
この一件で、淺川組では現場所長の降格や、西口社長ら取締役の報酬カットなど、8人を処分したことも明らかにしました。