和歌山県・線状降水帯への配備体制 災害対策本部設置基準見直しへ

2023年11月22日 17時13分

政治災害・防災

和歌山県は、ことし(2023年)6月の線状降水帯による豪雨災害を検証した結果、職員の配備体制や災害対策本部の設置基準を見直す必要があると判断し、きょう(22日)それらの改正案を発表しました。

ことし6月1日から3日にかけて、近畿地方を梅雨前線が北上し、その前線に向かって台風2号から暖かく湿った空気が流れ込んで大気の不安定な状態となりました。とくに紀北地域では、和歌山県で初めてとなる線状降水帯が発生して記録的な大雨となり、河川のはん濫や土砂崩れなどが多発して、2人が死亡したほか、住宅の全半壊や浸水、田畑などへの被害が広がりました。

県では、線状降水帯の発生にこれまでの体制が追いついていない部分があったとして検証し、より迅速に職員が対応出来るよう、警戒体制や配備体制を見直す方針を示しました。

改正案では、まず、気象台から線状降水帯の発生が予想される半日程度前に出される呼びかけが県内で発生した時点で、危機管理局が情報収集を始めます。 

あわせて、これまで1号・2号と区分されていた、職員の「警戒体制」と「配備体制」を一本化し、気象台から線状降水帯の発生を示す「顕著な大雨に関する気象情報」が県内で出された時を配備体制の発令基準に加えます。

そして、災害対策本部をより迅速に設置出来るよう、これまでの配備体制2号を「災害対策本部非常体制1号」と改め、災害救助法を適用しなければならないような災害が予想されるときに知事が必要と認めた場合、災害対策本部が設置できるよう、基準を見直しています。 

このほか、改正案では、ことし8月からすでに行っている被災地の市町村へ、各振興局から情報収集のための職員・リエゾンを派遣することや、児童・生徒が警報発令後に下校する事態を避けるため、校長がより柔軟に臨時休校や下校、授業開始を決断出来るように教育委員会への情報伝達を強化すること、それに、河川の調査や、NEXCO西日本へ高速道路の事前通行規制基準を見直すよう働きかけることなども加えられています。

定例記者会見での岸本周平知事(11月22日・和歌山県庁)

和歌山県の岸本周平知事は、年度がかわる来年(2024年)4月1日から改正した基準を適用する考えを示しましたが、記者から「迅速な適用が必要だと思うが、何故4月からなのか?」と指摘されると「良い質問だ。役所は年度ごとに事業をスタートするので、予算などの段取りを付けなければならないが、我々の頭が年度で区切られてしまっていると思う」と述べたうえで、準備を本格的に進める考えを改めて示しました。

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