和歌山県名匠表彰・紀州高野組子細工の池田さん表彰
2023年11月09日 16時31分
和歌山県内で優れた伝統工芸の技術者に贈られる、今年度(2023年度)の和歌山県名匠表彰に、橋本市の紀州高野組子細工の職人・池田秀峯(いけだ・しゅうほう)さん、本名・池田秀孝(ひでたか)さん77歳が選ばれ、きょう(9日)和歌山県庁・正庁で表彰されました。
紀州高野組子細工は「高野六木(こうやりくぼく)」と呼ばれる、スギやヒノキ、コウヤマキなどの高野山周辺の植物を材料につくられ、釘や金具を一切使わずに、手作業で三本の薄い木材を正三角形に組み合わせた「三ツ組手(みつくで)」によって組み上げられる幾何学模様が特徴の伝統工芸品で、高野山金剛峯寺から高野山伝統技術に認定されています。
池田さんは、組子細工職人だった父親の影響で幼い頃から組子製作に親しみ、20歳を過ぎて、アルミサッシに木製の組子をおさめる、業界で初めて手掛けた組子細工の仕事を契機に、父親の後を継いで組子細工の製作を始めました。
その後、三ツ組手の手法をさらに発展させて、幾何学紋様だけでなく、人や風景などの複雑な絵柄も描く「きのくに・千切れ(ちぎれ)はめ込め技法」を産官学で開発したほか、地元の小・中学生に木工細工教室を開くなど、普及にも取り組んだことが高く評価されました。
表彰式では、和歌山県の岸本周平知事が池田さんに表彰状や盾などを授与しました。
池田さんは「組子細工の和の技術を洋風建築にも融合させるなど、従来の技術をさらなる発展に取り組んできました。これからも頑張っていきたい」と喜びを語りました。
県では、ことし名匠表彰が出来て50周年を迎えることから、来年(2024年)3月上旬に、県民文化会館で過去の名匠の作品を展示する記念展を開催する予定です。