和歌山県新宮市の国道168号「仮称2号トンネル」フッ素・ヒ素検出で工事打ち切りに
2023年11月01日 18時48分
和歌山県が管理し掘削工事を進めている新宮市(しんぐうし)の国道168号「仮称2号トンネル」について、すべての区間の土壌で基準値を超える人体に害のあるフッ素やヒ素が検出されたとして、県では、このまま掘削を続けた場合、残土の処分に莫大な費用がかかるとして、工事をいったん打ち切り、再発注に向けたコストの縮減を検討することになりました。
工事が打ち切られたのは、国道168号・新宮市相賀(おうが)・高田(たかた)間で掘削が行われている「仮称2号トンネル」およそ2・6キロです。
県では、カーブが多いこの区間の改良を行うため、おととし(2021年)12月から2026年2月までの予定で、国から55%の補助を受けたうえでおよそ70億円をかけて「仮称2号トンネル」の掘削工事を行っています。
県・道路建設課によりますと、掘削工事は高田側から去年(2022年)9月から始まり、掘削開始前の水平ボーリング調査で一部の土壌からヒ素が検出されていましたが、掘削を続けながら様子を見ることにしました。
その後、全体のおよそ1割を掘削したことし(2023年)9月の時点で土壌を調べたところ、ヒ素は基準値の最大5倍の量、フッ素は基準値の最大4倍の量が検出され、工事区間のすべての土壌に広がっていることがわかりました。
掘削した土は、御坊市にある管理型処分場で処分してきましたが、県では、このまま掘削を続ければさらに200億円ほど工事費の増大が見込まれるとして、工事をいったん打ち切り、法律に基づいて残土処分コストの縮減策を検討し、見通しが立った場合、再発注することを決めました。
県では「処理費用が莫大なうえ、相当の量の残土が見込まれ、これらを受ける盛り土を探しているが、 いまのところ見つかっていない」と話しています。