和歌山県の移民芸術家の展覧会 県立近代美術館で開催中
2023年10月06日 19時27分
海を渡り海外で芸術活動に取り組んだ和歌山県ゆかりの人たちの絵画や彫像などを紹介する展覧会が和歌山市の県立近代美術館で開かれています。
これは、きのう(10月5日)から和歌山県内で始まった、「第2回和歌山県人会世界大会」にあわせて開かれているものです。
和歌山県は、海外への移民の数が、全国で6番目に多い「移民県」で、今回の展覧会「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」では、アメリカの西海岸に移住した人たちによる、明治から戦時中にかけての芸術活動を中心に紹介しています。
なかでも、有田川町出身の上山鳥城男(うえやま・ときお)は、1908年、19歳でアメリカに渡り、ヨーロッパへの留学を経て、1921年、ロサンゼルスで美術家グループ「赫土社(しゃくどしゃ)」を結成するなど精力的に活動しました。
上山は、堅実な写実性と優れた色彩感覚で、肖像画や静物画、風景画などさまざまな作品を世に送り出していて、美術館によりますと、上山の作品を集めた展示はこれまで行われたことがなく、今回の展示の目玉となっています。
このほか、展覧会では、和歌山市出身のヘンリー杉本(すぎもと)ら戦時中に日系人の収容所で創作活動を続けた画家の作品も展示されています。
県立近代美術館の学芸員、青木香苗(あおき・かなえ)さんは、「アメリカにとっても、日本にとっても、埋もれているのが日系人の歴史。渡米画家を研究してきた美術館として、地域の歴史と結び付けて掘り起こし、未来につないでいくとともに、移民の存在を知ってもらうことで、さまざまな人の生き方があることを示したい」と話しています。
この展覧会は、11月30日まで開かれています。