和歌山県産たねなし柿 機能性表示食品の届け出完了
2023年09月06日 18時55分
「和歌山県産のたねなし柿」に含まれる「柿タンニン」が、悪玉コレステロールの値を低減させる効果のあることがわかり、臨床試験を行ってきた県農業協同組合連合会・JA和歌山県農がきょう(9月6日)記者会見し、「柿タンニン」の効果と、消費者庁に対する機能性表示食品の届け出が完了したことを発表しました。
和歌山県の柿の収穫量は4万2千トンで、去年まで44年連続で日本一となる中、JA和歌山県農では、2015年3月から柿の健康機能性成分について、科学的な知見を踏まえたデータの収集を始め、2017年には、ビタミンCの栄養機能表示を開始しました。その後、大阪公立大学や近畿大学の協力を得て臨床試験を行い、「和歌山県産のたねなし柿」の「柿タンニン」を摂取することで脳梗塞や心筋梗塞を発症するおそれのある、悪玉コレステロールの値を下げる効果のあることがわかりました。
臨床試験では、コレステロール値が高めのボランティアを対象に、「和歌山のたねなし柿」に含まれる「柿タンニン」2・1グラムを、毎日、4週間にわたって摂取した人と、摂取していない人を比べたところ、「柿タンニン」が、悪玉コレステロール値を低減させることが実証されました。
必要なタンニンは、「和歌山のたねなし柿」を1日1個食べることで摂取できるということです。
これを受けて、JA和歌山県農が機能性表示食品として消費者庁に届け出て先月(8月)、受理されました。
農産物の成分が関与する機能性表示食品は、これで22種類となりましたが、柿の成分による機能性表示食品は、初めてだということです。
きょうの記者会見には、臨床試験に参加した大阪公立大学客員教授の鈴木利雄(すずき・としお)さんと、近畿大学生物理工学部教授の尾﨑嘉彦(おざき・よしひこ)さん、近畿大学農学部・元教授の米谷俊(こめたに・たかし)さんの3人が臨席しました。当初から関わってきた鈴木さんは、「8年越しで、ようやく機能性表示食品の届け出が受理された」と、感慨深げに臨床試験の経緯を説明しました。
JA和歌山県農・柿消費拡大対策事業協議会の澤井壮平(さわい・そうへい)会長は、「機能性表示が受理されたことは、柿産地としてすごくありがたいし、今後、県内の柿の生産者がメリットを得られるよう販売につなげていきたい。スーパーや量販店の店頭でポップをつけるなどして全面的にアピールしていきたいし、香港などの海外への輸出も促進し、単価や消費量のアップにつなげたい」と話しました。
JA和歌山県農では、今後、柿タンニンの有効性を強調し、和歌山のたねなし柿の販売促進をはかることにしています。