山田洋次監督作品 和歌山市で特別先行上映会 吉永小百合、登壇

2023年08月23日 20時36分

イベント歴史・文化社会

来月(9月)1日に公開される山田洋次(やまだ・ようじ)監督の映画「こんにちは、母さん」の特別先行上映会がきょう(8月23日)、和歌山県和歌山市で開かれ、主演を務める俳優の吉永小百合(よしなが・さゆり)さんが、山田監督らとともに舞台に立ち、和歌山のファンにメッセージを贈りました。

舞台挨拶で映画について語る山田監督(左)と吉永さん

これは、寅さんが登場する山田監督の作品「男はつらいよ」の世界を通して、活気をなくした和歌山の商店街について考え、復活させようと、10年前に結成された『わかやま寅さん会』が主催したもので、2019年の映画「男はつらいよ おかえり 寅さん」以降、山田監督らのゲストを招いた上映会の開催は4度目となります。

今回、上映された「こんにちは、母さん」は、山田監督が吉永さんと組んで制作した『母(かあ)べえ』『母(はは)と暮せば』に続く、『母(はは)』3部作の一つで、山田監督にとって90作目の映画となります。劇作家、永井愛(ながい・あい)の戯曲を基に、仕事場と家庭で神経をすり減らした男性を演じる大泉洋(おおいずみ・よう)が、吉永小百合扮する実家の母を訪れ、生き生きと生活する母親に戸惑いながらも、温かい下町の人たちや、これまでと違う母に出会い、見失っていたものに気づくという物語です。

きょう午後、和歌山市のジストシネマ和歌山で2回、行われた特別上映会では、映画上映の前後に山田監督と吉永さんら3人が登壇し、トークを繰り広げました。

この中で、山田監督が「今回の映画で、小百合さんにおばあちゃんの役をやってもらっていいのかと悩み、小百合さんに相談したときはとても緊張した」と告白すると、吉永さんは、「私は、すぐに、『大丈夫です。やります』とお答えしました」と振り返りました。

和歌山県の印象について、吉永さんは、「和歌山に来たのは、2度目ですが、宿泊したのは初めてで、おいしいお魚をいただき、お城もきれいだなと思いました」と話しました。

また、山田監督は、今回の先行上映会について、「他にはない、市民の力でできあがった上映会で、それが、僕の作品によって成り立っているのは、とても光栄なこと。映画館で見知らぬ人と一緒に大声で笑い、涙を拭いたりできるように、日本の映画人が、それにふさわしい作品を作り続けていかなければならないと、しみじみと感じた」と語りました。

左端は「こんにちは、母さん」に出演した俳優の北山雅康さん

先行上映会を観覧した和歌山市に住む70歳代の女性3人のグループは、「感動しました。『笑わせた後に涙』の映画で山田監督はすごいと思いました」「時代を切り取った映画で、私たちの世代の悩みを感じました」「吉永さんを観るため用意した双眼鏡を忘れてきたのが残念」と話していました。

開場を前に列を作る観客 800席(2回公演)は満席

先行上映会を主催した『わかやま寅さん会』代表の西本三平(にしもと・さんぺい)さんは、山田監督らの登壇を前に挨拶し、「わかやま寅さん会は、映画を通して街を元気にしたいと歩み始めて今年で10年。今回のパンフレットには、私たちの考えに賛同してくれた138の事業主が掲載されているが、これからもこの繰り返しで上映会を続けていきたい」と決意を語りました。

特別先行上映会で思いを語る西本代表

山田監督の90作目となる映画「こんにちは、母さん」は、9月1日に公開されます。

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