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和歌山乳児院に新施設竣工 里親支援センターも

2023年07月20日 19時56分

社会福祉・医療

何らかの事情で保護者との生活が困難と判断された乳幼児が入所する和歌山県内で唯一の施設「和歌山乳児院」が、里親支援の拠点施設などを新たに建設し、きょう(7月20日)、竣工式を開きました。

乳児院は、子育てをするのが困難な家庭の乳幼児を24時間・365日体制で預かることができる子育て支援施設で、和歌山県内では、「和歌山乳児院」が唯一の施設となっています。

「和歌山乳児院」では、医師や看護師、保育士や栄養士、心理士などの専門スタッフが、乳幼児の発育を、精神面や身体面で支援していて、3歳になって家庭に帰すことができない場合、里親か、児童養護施設に預けることになります。

バンビーニ広場

新たに開設された施設は、芝生を敷き詰めた公園の「バンビーニ広場」と、床面積およそ400平方メートルの鉄骨平屋建ての「つくしホール」で、「つくしホール」には、研修会などのイベントが開けるスペースのほか、和歌山県から運営を委託されている里親支援センター「なでしこ」の事務所が入っています。

「なでしこ」の入った「つくしホール」

きょう午前10時から岩出市川尻の施設で行われた竣工式では、和歌山乳児院を運営する社会福祉法人・和歌山つくし会の谷本美佐子(たにもと・みさこ)理事長が挨拶し、「この不安定な時代に新たな施設の建設は容易ではなかったが、こんな時代だからこそ、役職員が一丸となって、一層の社会福祉事業の活性化と、より地域の皆さんとともに生きることのできる社会福祉法人を目指したい」と述べました。

挨拶する谷本理事長

来賓として挨拶した、和歌山県の岸本周平(きしもと・しゅうへい)知事は、「擁護する必要のある子どもの8割程度が家庭で育つ欧米に対し、日本では、児童養護施設が基本になっている。国会議員時代としてなんとかしようと取り組んできたが、壁は高かった。和歌山つくし会が長年取り組んでいる里親制度を、和歌山県としても、しっかりと応援したい」と述べ、施設の竣工に強い期待感を示しました。

祝辞を述べる岸本知事

式典には、およそ40人が出席し、お茶で乾杯して施設の竣工を祝いました。

式典の後、今後の運営方針について、谷本理事長は、「日本では、養子縁組や里親制度が、海外と比べて難しい土壌にあることを広く知ってもらえるよう、講座や、障害のある人たちと関わるイベントの開催などで発信力を高めたい。また、文化が人をつなぐきっかけになると思うので、将来的には、ここで和太鼓や陶芸などの教室を開き、活動に興味を持ってもらえれば、乳児院での保育などのボランティアにも参加してもらえるのではないか」と話しました。

和歌山県によりますと、県内の里親登録者数は、今年(2023年)3月末現在、187世帯で、このうち、現在、委託を受けて子どもを育てているのは39世帯です。また、家庭で適切な養育が受けられないため施設や里親のもとで生活している県内の子どものうち、里親やファミリーホームといった家庭と同じ養育環境で生活している子どもの割合は、21・5%となっています。

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