『いろは丸』引き上げプロジェクト 来年発表へ 陸奥宗光シンポ

2023年07月19日 19時16分

イベント政治教育歴史・文化社会

明治維新後の外務大臣として、外国との不平等条約の改正を達成した和歌山市出身の陸奥宗光(むつ・むねみつ)元外務大臣に関するシンポジウムが、このほど(7月16日)、和歌山市で開かれました。この中で、陸奥が所属していた海援隊(かいえんたい)のメンバーが乗り込み、紀州藩の船と衝突して現在の岡山県沖に沈没した蒸気船「いろは丸」を引き上げるプロジェクトが、来年にも発表されることが明らかになりました。

和歌山市・和歌山ビッグ愛大ホールで開かれたシンポジウム(2023年7月16日)

このシンポジウムは、海援隊などで行動を共にし陸奥宗光に大きな影響を与えた幕末の志士・坂本龍馬(さかもと・りょうま)を顕彰する「紀州 宗光(むねみつ)龍馬会(りょうまかい)」が、来年(2024年)、陸奥の生誕180年、イギリスとの不平等条約改正から130年の節目にあたることから和歌山市で開催される「第36回龍馬World in 和歌山」のプレイベントとして開いたものです。

シンポジウムでは、外務省で国際情報統括官やイスラエル大使を務めた竹内春久(たけうち・はるひさ)さんが「外務省と不平等条約の改正」と題して基調講演した後、パネルディスカッションで「外交という範疇にとどまらない政治家、政治思想家としての陸奥は、国内の要素を糾合しながら、鋭い観察眼と分析で国際情勢を正確に測定し、一つ一つ石を積み上げていった。その功績は大きく、陸奥は、彼の手法を引き継ぐべき我々を導く灯台の光と言える」と指摘しました。

陸奥宗光について語る竹内さん

また、パネルディスカッションに登壇した「紀州 宗光(むねみつ)龍馬会(りょうまかい)」顧問の片桐章浩(かたぎり・あきひろ)さんは、「海底から戦時中の軍艦を引き上げる作業に携わる関係者と話す中で、船体がまだ海に沈んだままのいろは丸を引き上げれば、坂本龍馬と陸奥宗光に関する新たな事実が出てくるのではないかという話になり、来年のイベントの目玉にするべく、プロジェクトを立ち上げた。2人の偉人の歴史の足跡を和歌山から発信し、新たな物語を作っていけたら。是非、来年のイベントで内容を発表したい」と話しました。

プロジェクトへの思いを語る片桐さん

このほか、シンポジウムでは、日本近代政治史が専門の岸本昌也(きしもと・まさや)さんが「宗光、龍馬と出会った紀州の天才偉才たち」と題して基調講演し、パネルディスカッションにも参加したほか、全国龍馬社中の牧田活宜(まきた・かつよし)副会長が、来年、和歌山市で開催される全国大会の概要などを説明しました。

シンポジウムで基調講演した岸本さん
パネルディスカッションに登壇した牧田さん

「第36回 龍馬World in 和歌山」は、来年7月13日から15日までの3日間、予定されていて、7月13日に和歌山城ホール・大ホールで、坂本龍馬のふるさと・高知県をはじめ、全国で龍馬を顕彰する市民団体が一堂に会する大会と交流会が開かれるほか、14日と15日には、和歌山市や高野・熊野など陸奥のふるさと・和歌山での足跡を巡るエクスカーションが予定されています。

シンポジウム開始前に記念撮影

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