和歌山市・雑賀崎廃旅館撤去の略式代執行はじまる

2023年06月19日 18時34分

政治社会

和歌山市雑賀崎(さいかざき)にある廃墟となった旅館の建物について、倒壊や崩落の恐れがあるとして、和歌山市は、きょう(19日)空き家対策の推進に関する特別措置法に基づき、建物を撤去する略式代執行(りゃくしきだいしっこう)を始めました。

解体作業の準備を行う土木業者(6月19日・和歌山市雑賀崎)

撤去が行われているのは、雑賀崎漁港を見下ろす高台に位置するかつて観光旅館だった鉄筋コンクリート一部木造3階建ての建物で、延べ床面積は937平方メートルです。

屋根が崩れボロボロの状態の建物

建築された時期は不明で、1975年ごろまで営業していましたが、移転後、雨風などで屋根が崩れたり、外壁の腐食が進んだりして倒壊や崩落の危険が高まっていましたが、所有者が死亡し、相続人も相続放棄したため、手つかずになっていました。

略式代執行を宣言する和歌山市の和中建築住宅部長

きょう午前10時半、和歌山市の和中(わなか・)潤一(じゅんいち)建築住宅部長が略式代執行書を読み上げ、解体業者が資材を運び込んだり、フェンスで囲ったりして、作業が始まりました。和歌山市が略式代執行で解体作業を行うのは初めてです。

和歌山市の高木空家対策課長

和歌山市・空き家対策課の高木(たかぎ・)(ひろ)()課長は「非常に危険な建物で、通学路や避難経路上にもあり、倒壊すれば多大な被害が見込まれる」と述べました。

撤去費用はおよそ7千万円で、国と和歌山県・和歌山市の3者で分担しますが高木課長は「平地(ひらち)ならば費用はもっと抑えられたと思うが、崖地(がけち)にあるので作業も大変になるうえ、作業の安全性の精査も必要になった」と見解を述べました。

住民から崩落の巻き添えになる危険性を指摘される児童公園

解体作業が始まったことについて、雑賀崎(さいかざき)の住民は「もう落ちそうで危なかった。建物の真下に児童公園があって、地震などで崩れたらどうなることかと思っていた。地元として、行政が解体してくれると聞いて嬉しかった」と話していました。

和歌山市では、来年(2024年)3月中旬ごろまでの9か月間にわたって解体作業を行う予定です。

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