第8回全国被災地語り部シンポ 広川町で開催
2023年03月18日 23時57分
第8回全国被災地語り部シンポジウムがきょう(3/18)、「稲むらの火」の逸話を生んだ偉人、濱口梧陵(はまぐち・ごりょう)のふるさと、広川町で開かれ、全国各地で災害関連施設の館長がパネリストとなって、それぞれの取り組みや地域との関りなどについて語りました。
これは、稲むらの火の館や野島断層保存館など防災関連の施設などでつくる実行委員会が、和歌山県内で初めて開催したものです。
開催にあたって挨拶した実行委員長をつとめる神戸大学地域連携推進本部特命准教授の山地久美子(やまじ・くみこ)さんは、「津波から逃げろ、と言うだけでなく、どう逃げるかを考えることが大事で、そのみちしるべを考えるのが、このシンポジウム。南海トラフ地震に向けて、人のつながりをつくることが大切だ」と強調しました。
この後、「200歳の語り部 巨大地震と津波を考える」と題してパネルディスカッションが開かれ、国内にある災害関連の記念館から4人の館長がパネリストとして登壇しました。
この中で、稲むらの火の館の崎山光一(さきやま・こういち)館長は、3年前の2020年が、濱口梧陵生誕200年の記念の年だったことを紹介し、広川町で続く、「津浪祭(つなみまつり)」や「稲むらの火祭り」を例に挙げ、災害を伝承してきたことを説明しました。
また、震災遺構・門脇(かどわき)小学校のリチャード・ハルバーシュタット館長は、「200年さかのぼって過去を語るのが語り部だが、何のために語るかと言えば、それは、200年先のためではないか。発災から12年の東日本大震災でさえ風化の危険がある。しかし、強い使命感もなく着任した私が取り組めることなので、恐れることなく若者を巻き込み、若い語り部を育てていきたい」と話しました。
この後、2つの分科会が開かれ、「全国の災害語り部の取組みと歴史」と「文化・社会の語り部~平時からの取組み」を震災語り部や郷土史家らが発言しました。
そして、実行委員で野島断層保存館部長の池本啓二(いけもと・けいじ)さんがシンポジウムを総括し、「後世に伝える活動をしている人だけが語り部なのではなく、災害が起きた時、いかにして命を守るかを考え活動している人はすべて語り部と言える。200歳の語り部はいないが、200年後に同じ災害の悲劇を繰り返さないよう皆さん、災害を伝えていってほしい」と話しました。
そして最後に、「和歌山語り部宣言」が発表され、副実行委員長で南三陸町地域観光復興協議会会長の阿部隆二郎(あべ・りゅうじろう)さんが「誰もが語り部であり、災害の歴史、反省と教訓を積み重ね、未来の命を守るため、ここで得たことを伝え続けることをここに宣言します」と読み上げてシンポジウムを締めくくりました。