トルコ地震派遣の医師 日赤和歌山で帰国報告
2023年03月15日 19時24分
トルコ南部の大地震で、被災地に入り、現地の医療状況などを調査してきた日赤和歌山医療センターの医師がきょう(3/15)、帰国後、初めて報告会を開きました。
日本赤十字社は、トルコの赤十字にあたる「トルコ赤新月社(せきしんげっしゃ)」の要請を受けて、現地の医療状況を把握するため、和歌山医療センターの感染症内科部長、古宮伸洋(こみや・のぶひろ)医師ら3人をトルコに派遣していました。
古宮医師は、先月(2月)27日にトルコに入り、今月(3月)7日まで、現地の医療スタッフが行う巡回診療に同行し、トルコ南部の町を巡りました。
きょう午前、日赤和歌山医療センターで開かれた報告会で、古宮医師は、発災から3週間が経過した被災地の現状として、トルコに入っていた国際救援チームの多くが撤収し始めていた一方、医療機関が近くにない人たちに対応するため、トルコ赤新月社の医師や看護師、放射線技師や心理士からなる診療チームが検診車などを活用して巡回診療を始めていたことを話しました。
そして、古宮医師ら日本から派遣された日赤のスタッフがこの巡回診療に同行して山間部や農村部を巡り、今後、必要となる支援のあり方などをアドバイスしたということです。
古宮医師は、「こうした巡回診療は、トルコの医療システムが回復するまで続ける必要があり、1年はかかるのではないか。今後は、資金面や車両の提供のほか、スタッフの質を上げるための人材派遣も行っていく必要がある」と指摘しました。
また、トルコでは、親族間のつながりが強いため、被災者270万人のうち、110万人が、親族などを頼るなどしてほかの都道府県に移住していて、地域の医療スタッフが不足する要因にもなっているということです。
南海トラフ巨大地震の被害が懸念される日本が学ぶべき点について、古宮医師は、「現地で発災直後を見ていた人は、そろって機動力の高さに驚いていた。国などが備蓄しているテントを建てて住宅を確保する動きが速く、災害時の炊き出し担当責任者を配置しているトルコ赤新月社は、一気に被災地に展開し、食糧を配給していた」と述べ、「災害に備えて日本も学ぶべきだ」と強調していました。