盲学校で卒業生に寄贈 音の出る時計、卒業式を前に

2023年03月07日 20時15分

社会

卒業式をあす(3/8)に控えた和歌山県立和歌山盲学校できょう(3/7)、卒業する3人に、奉仕団体から音で時刻を知らせる時計が贈られました。

久保委員長から時計を受け取る楠本さん(2023年3月7日・和歌山盲学校で)

時計を寄贈したのは、和歌山中央ライオンズクラブで、県立和歌山盲学校の卒業生に音声で時刻を知らせる時計を贈るこの事業を、30年以上にわたって続けているということです。

新型コロナウイルスの感染が確認されるまでは、毎年、卒業式の日に寄贈されていましたが、感染が拡大した2020年以降は、卒業式を前に寄贈式が行われています。

今年は、きょう午前、和歌山市府中の県立和歌山盲学校で寄贈式が行われ、和歌山中央ライオンズクラブの久保勝彦(くぼ・かつひこ)障害福祉委員長から、盲学校の高等部3年、楠本修土(くすもと・しゅうと)さん18歳と、いずれも理療科3年の伊藤智之(いとう・さとし)さん21歳と髙居稔也(たかい・としや)さん30歳の3人に、音声で時刻を告げる時計が贈られました。

幼稚部から15年間、盲学校で過ごした楠本さんは、「高等部の入学式はコロナ禍で静かだったのを思い出しました。卒業後は、京都の施設で歩行訓練などを受けて、将来のことを考えたい」と話し、「パソコン関係の仕事を目指したい」と語りました。

また、中学2年のときから8年間、盲学校に在籍した伊藤さんは、「あんまマッサージ指圧師の資格試験の合格発表はまだですが、合格していれば、春からは社会人。不安もありますが、頑張ります」と話しました。

また、26歳のとき難病で視力を失い、保育士を辞めた後、和歌山盲学校に入学し、いまは、あんまマッサージ指圧師とはり師・きゅう師の資格試験の合格発表を待つ髙居さんは、「病気にならないと見えない世界があり、いまは、目が見えていたときと違う第二の人生を送っていて人より多くの経験ができ、財産となっています。もともと保育士で、人と関わることが好きなので、そういう面を強みにして、いろんなことに挑戦していきたい」と語りました。

寄贈式に出席した和歌山中央ライオンズクラブの太田阿希(おおた・あき)会長は、「私もこれまでに二度、卒業式に出席しましたが、在校生も先生も、とてもあたたかく、感動しました。これから、皆さん、いろんな方面で活躍されると思うので、この時計で、新社会人としてがんばっていただきたい」と話しました。

県立和歌山盲学校では、あす卒業式が行われます。

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