小学校で防災ボードゲーム作り 4年生が挑戦

2023年03月01日 20時33分

教育社会

手作りのゲームで防災を学ぼうという取り組みが和歌山県和歌山市の小学校で行われていて、4年生の児童が、地震や津波の知識を学ぶとともに、どのように対応すればよいか、自分たちの身の回りの道路や施設を調べて理解を深めています。

授業で、ゲームの改善策を考える4年2組の児童(2023年1月20日)

和歌山市大谷にある市立楠見小学校の4年2組では、去年9月から、総合学習の中で防災について学んでいて、和歌山県の職員による「出張、減災教室」で、防災を学べる『きいちゃんのボードゲーム』の存在を知った児童が、授業で学んだ津波の恐ろしさや備えの大切さを、他の児童や地域の人たちにも独自のボードゲームで伝えようと制作しています。

授業中、自分たちでこれまでに調べた内容を確認する

ゲームでは、はじめにサイコロを振って、出た目の数によって4つの中からスタート地点が決まり、カードに書かれているクイズに答えて、正解すると3枚、不正解なら1枚の備えカードをもらって出発します。どの備えカードをもらうかは、自分たちで話し合って決めることになっていて、何を選んだかによって、のちのゲームの進行に影響します。

グループごとに考えを巡らせる

4年2組の児童は、隣りのクラスにゲームを試してもらった上で、再び議論し、改良型のゲームを作り、今度は6年生に試してもらいました。

6年生がゲームで遊んでみた(2023年1月27日)

ゲームの中では、他人を助けるなど善い行いや、ふさわしい行いをすることで、濱口梧陵を表す濱くんポイントが増える一方、1コマ進むごとに3ポイントずつ津波避難にかかった時間が増えていき、スタートからの累積が40を超えると、ゲームオーバーとなります。

ルールブックも作成

歓声や悲鳴を上げながらゲームに取り組んだ6年生は、「皆で話し合って、どのマスに進むかを決めるなど、ほかのゲームにはないルールがあっておもしろかった。津波メーターがだんだん上がっていくので、ハラハラドキドキした」などとゲームの感想を話し、「津波の高さがひざ下であっても危ないことを知った。校区内には、たくさんの避難場所があるものの、なかには、土砂崩れなどが懸念される場所もあることを知った」などと新たに知り得た防災知識を話していました。

6年生が感想をアンケート用紙に書き込む

ゲームを作った4年2組の児童は、「なるべくたくさんの人に防災の大切さや災害の怖さを知ってもらいたいので、わかりやすく楽しくゲームをできるよう作りました。持っていく備えカードなど、みんなでしっかり話し合ってほしい。災害に対しては、正しく恐れて準備し、正しい避難路を逃げることが大切と伝えたい。楠見小学校の中だけでなく、楠見地区の人たちにも知ってもらいたい」と話しました。

4年2組の児童

今回の取り組みについて、4年2組の担任、谷口聖人(たにぐち・まさと)教諭は、「南海トラフ地震がいつ起きるかわからないので、生き残ってほしいという思いで取り組みました。30年後に地震が起きた場合、楠見校区に残っていない子もいるので、どこに住んでいても対応できるよう今回の経験を活かしてほしい」と話しました。

授業のテーマになった楠見小学校のカードを示す谷口教諭

このゲームは、すでに完成していて、4年2組の児童らは、今後も、授業などで活用してもらえるよう学校に寄贈することにしています。

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