大学敷地を広域防災拠点に 和県×和大×近大生物理工・覚書締結
2023年02月01日 20時04分
大規模災害の発生時に広域応援部隊の受け入れ場所となる宿営地の用地などを確保するため、和歌山県はきょう(2/1)、和歌山大学と近畿大学生物理工学部との間で覚書を締結しました。
大きな災害が発生すると、警察や消防、自衛隊などから、多くの部隊が、和歌山県に入って活動することになり、部隊の集合場所や宿営地、救援物資の中継を行う拠点などが必要になるため、県は、広域受援計画を作って、拠点の整備を進めています。
現在、県は、和歌山市のコスモパーク加太の一部、およそ3万4千平方メートルをはじめ、橋本市と白浜町、新宮市の4ヶ所に広域防災拠点を整備していますが、今回、さらに広い場所を確保することで、災害時の拠点をより広範囲に、長期に展開することが可能になります。
きょう午後2時から県庁南別館で行われた覚書の締結式では、和歌山県と和歌山大学、それに近畿大学生物理工学部の代表者がそれぞれ覚書に署名し取り交わした後、挨拶しました。
この中で、県の福田充宏(ふくだ・みつひろ)危機管理監は、「今回の覚書の締結で、いま以上に受け入れ環境が整うとともに、両大学の施設は、幹線道路から近く、アクセスのよいところなので、これにより迅速かつ効率的な応急復旧対策につながるものと期待している。今後、災害に備えた訓練にもご協力いただきたい」と述べました。
和歌山大学の伊東千尋(いとう・ちひろ)学長は、「和歌山大学は、教員が自治体の事前復興計画づくりに協力しているほか、災害時に対応する学生ボランティアの団体がある。今回の覚書締結で、和歌山県の復興に寄与できることになり、非常に大きな喜びを感じている。今後は発災前の事前復興、発災後の部隊の受け入れ、そして学生ボランティアによる復興支援と、3段階の支援を進めていきたい」と話しました。
また、近畿大学生物理工学部の古薗勉(ふるぞの・つとむ)学部長は、「近大生物理工学部では、4年前、学生消防団を結成し、月に一度の訓練を行っていて、去年には、那賀消防組合消防本部と協定を結び、学内だけでなく、地域の防災に貢献していく姿勢を打ち出すなど地域に根付いた防災活動を行ってきた。こうした中、近畿大学を地域の拠点としてもらうことで、ますます防災に対する学生の教職員の意欲が高まる」と期待を寄せました。
今回の覚書を受けて、県は、大災害時に、和歌山大学の陸上競技場や多目的グラウンドなどあわせておよそ3万8千平方メートルを活用できるほか、近畿大学生物理工学部では、学生の駐車場やグラウンド、アリーナなどを含めあわせておよそ2万4千平方メートルを活用できるようになります。
今後、県は、対象となる施設を含む敷地内で訓練を行い、災害時にスムーズに対応できるよう備えることにしています。