災害ボランティアセンター設置 日高川町で訓練
2022年12月30日 20時25分
大規模な災害で和歌山県が広域に被災したケースを想定した災害ボランティアセンターの設置・運営訓練がこのほど(11/26)、日高川町で行われ、県内のほぼすべての自治体から社会福祉協議会の職員らが参加しました。
これは、県内の複数の市町村が被災した場合に備えて、支援する立場の団体や個人が連携し、地域に応じた支援を迅速に行えるよう、県社会福祉協議会と県災害ボランティアセンターが主催したもので、今年は、紀中ブロックを拠点に行われました。
訓練は、紀伊半島沖で震度7の地震が発生し、津波で紀中の沿岸地域に大きな被害が生じたため、紀中ブロックの社会福祉協議会が協議し、発災から5日後に、被害の小さかった日高川町に2つのボランティアセンターを立ち上げ、生活再建と地域復興に取り組むことにしたという想定で行われ、県社会福祉協議会の職員のほか、県内に30ある市町村のうち、28の市町村から社会福祉協議会の職員や、県の災害ボランティアに登録している人らあわせておよそ140人が参加しました。
訓練では、紀中ブロックの職員がボランティアセンターの運営側を担当し、ボランティア役のそのほかの参加者に対応して、ボランティア希望者の受付や注意事項の説明、参加者を5人程度のチームにわけてどの活動を担当してもらうかを決めるマッチング、資機材の貸し出しなどの業務を体験しました。
そして、今回は、被災することが想定される神社や特別養護老人ホームなどで実際に清掃活動を行い、センターに戻って内容を報告しました。
この後、会場を一つにして全体会が開かれ、担当した業務ごとにグループを作って振り返り、報告しました。
この中で、ボランティアに参加する人たちに注意事項を説明したグループは、「受付を終えた人たちが後ろで待機していたため、説明が一方的になってしまったので、次からは、説明のあとに質問がないかを呼びかけるようにした」などと報告したほか、災害ボランティアのグループからは、「参加する人の中には、土地勘のない人もたくさんいるので、チームの中に、地元の人を入れるべき。そうすることで、支援を受ける人も安心だし、早めに作業が終われば、次の現場へ直行できる」という提言などが寄せられました。
初めて参加した御坊市社会福祉協議会の望月翔太(もちづき・しょうた)さんは、「新型コロナウイルスの感染拡大後に採用されたため、会議もオンラインばかりで他の社協の人たちと顔をあわせたことがなかったので、今回、貴重な経験になりました。訓練では、いくつか手順を忘れたので、今後、経験を積み重ねて、災害が来るまでには、役に立てるようになりたい」と話しました。
県社会福祉協議会・災害ボランティアセンター所長の南出考(みなみで・こう)さんは、「災害ボランティアセンターが地域に立つだけで、住民の安心材料になり、ボランティアの機運を高めることもできる。11年前の紀伊半島大水害から得た教訓を、水害を知らない次の世代に繋ぐため、教訓を可視化していく作業が必要になる」と指摘しました。