オリンピアンとパラリンピアン 母校で講演&体験会
2022年12月02日 22時40分
ロンドン・オリンピックに出場した陸上の九鬼巧(くき・たくみ)選手と東京パラリンピックに出場した車いす陸上の生馬知季(いこま・ともき)選手が、きのう(12/1)、母校の文成中学校を訪れ、「夢を追い続けてほしい」などと後輩にエールを送りました。
有田市では、箕島中学校と保田(やすだ)中学校、初島中学校と文成中学校の市内の4つの中学校が、一つに統合され、有和(ゆうわ)中学校となり、再来年(2024年)4月に開校することになっています。
こうした中、有田市の文成中学校が、在校生に自らが通う中学校への誇りを持ってもらおうと、母校の先輩で、オリンピアンの九鬼選手と、パラリンピアンの生馬選手を招いて講演会と交流会を開いたものです。
きのう午後、文成中学校に隣接する宮原小学校の体育館で行われた講演会では、文成中学校の同級生で、「たっくん」「ともき」と呼び合ってきた2人が中学生時代や競技人生での転機、挫折したことや在校生へのメッセージなどを語りました。
この中で、九鬼選手は、ロンドン・オリンピックに400メートル・リレーの代表として出場した際、補欠だったため、ユニフォームを着てトラックを走れなかったことを自らの挫折として紹介した上で、「個人競技の100メートルで早いタイムを出さないとリレーにも選ばれないことを実感した」と話しました。
また、生馬選手も、東京パラリンピックの車いす陸上の100メートルで予選敗退し、代表に選ばれたユニバーサル・リレーで走れなかったことを紹介し、「悔しい経験をしたからこそ、どうすれば速く走れるか、気づくきっかけになった。失敗や挫折は、成長するために必要なもの」と強調しました。
また、生馬さんは、夢を持ち追い続けることの大切さを強調し、「叶えられなかったら恥ずかしい、と夢を口にしないのは、もったいない。夢を他人(ひと)に伝えることで、たくさんの人が応援してくれる」と述べ、「僕の夢は、2年後のパリ・パラリンピックで金メダルをとること。それは厳しいよ、と言う人はいるけど、応援してくれる人がいるので、負けずに頑張れている」と語りました。
講演を聞いた中学生は、「努力しているところがかっこいいと思いました」「野球部のキャプテンをしていますが、いやになって休んでしまうことがあるので、乗り越えて頑張ろうと思いました」「夢に向かって頑張りたいと思いました。夢はプロのテニスプレーヤーです」「早く将来の夢を決めてそこに向かって集中して頑張ろうと思いました」と話していました。
講演会の後、文成中学校のグランドで交流会が行われ、中学生が、生馬選手の指導で、レース用の車いすに乗ったり、ハンディ付きの九鬼選手と一緒に、50メートルや80メートルを走って速さを競いました。
母校への訪問を終えた九鬼選手は、「進学や就職で外の世界を知ることは大切だし、外の世界を知って帰ってきた方が、有田市がより活性化するのではないかと思う。私自身は、有田市に帰れていませんが、ふるさとのためになれば、という思いで14年連続で国体に出場しています。後輩の皆さんが、そうした思いを持つきっかけになればと思って講演しました」と話し、生馬さんは、「生徒の皆さんは、若く、何でもできる年齢。それだけに夢に自信を持てていないのは、もったいない。今回の話を通して、自分に自信を持って夢につなげてもらいたい」と話しました。
文成中学校の松本吉晴(まつもと・よしなり)校長は、「宮原と糸我の地域に誇りをもって卒業していってほしいという思いで今回、2人にお願いしました。生徒にとっては、自分たちの先輩が語る言葉を聞けて良かったと思います」と話していました。