鉄パイプ落下事故死・初公判 下請け業者「下請け以外にも責任」
2022年10月11日 16時56分
2019年11月、和歌山市のビルの屋上に設けられた作業場から鉄パイプが落下して男性1人が死亡した事故で、業務上過失致死の罪で起訴された下請け業者の男に対する初公判がきょう(10/11)、和歌山地方裁判所で開かれ、男は、罪を認めた上で、「下請け業者にのみ責任があるのではない」と主張しました。
起訴状などによりますと、和歌山市の建設会社「ヒロケン」の社長、本田博則(ほんだ・ひろのり)被告40歳は、和歌山市十三番丁にある12階建てのビルで足場の解体工事を請け負いましたが、作業にあたり、鉄パイプを落下させないようにするための業務上の注意義務を怠り、3年前の2019年11月19日の午前8時過ぎ、長さ1・5メートル、重さ5キロ余りの鉄パイプ1本を落下させ、通りかかった当時26歳の男性の頭に直撃させて死亡させたとされています。
また、冒頭陳述で、検察側は、「本田被告が、事故の4日前にも鉄パイプを落下させる事故を起こし、発注者に対して足場を構成するすべての部材に落下防止のロープを取り付けることを約束して、工事を再開したが、男性の被害者を死亡させたパイプには、ロープを取り付けていなかった」と指摘しました。
これに対し、罪状認否で、本田被告は、「パイプが落下しないことを、きちんと確認しないまま、接続する金具を緩めたことで、被害者の男性を死亡させたことに間違いない」と述べ、業務上過失致死の罪を認めましたが、「すべてのパイプにロープを取り付けることは約束していない」などとして、起訴内容の一部について争う考えを示しました。
また、弁護側は、「本田被告に大きな責任があることは否定しようがないが、被告は、工事の発注者や元請け業者の指示で足場の撤去を行っており、本田被告のみに責任を負わせることはできない」と指摘しました。
元請け業者の男性は、本田被告とともに業務上過失致死の容疑で書類送検されていましたが、嫌疑不十分で不起訴となっています。